NTTドコモが、携帯電話の電波を送受信する基地局の稼働に必要な電力を、太陽光発電とリチウムイオン蓄電池を組み合わせた再生可能エネルギーで賄う「グリーン基地局」の性能向上で成果を上げた。自前の発電によって必要な電力を賄う「自活率」を今夏、30%に向上させることに成功した。現在は関東甲信越地方に10カ所設けているグリーン基地局を、来年度は倍増させる計画だ。2016年に迫る電力自由化も念頭に、設置・運用ノウハウを高めて本格展開を目指す。
市販品活用しコスト抑制
「例え大規模災害で停電に陥っても、晴天さえ続けば基地局を何日も『自活』させられるめどが立った」。基地局のグリーン化に当初から携わってきたドコモ先端技術研究所の主幹研究員、竹野和彦氏は感慨深げに語る。
もともと「環境重視」の視点からスタートした研究だが、東日本大震災により停電時に基地局の機能を維持することが重い課題として加わった。
全国約10万カ所の基地局をグリーン化する上での至上命題は「市販品を活用しコストを極力抑える」ことだ。既設10カ所では、リチウムイオン電池はパナソニックなどから、太陽光パネルも複数メーカーから調達した。来年度以降の増設も見据え「価格動向に目を光らせている」という。