鍵握る産学官のビジョン共有
デュアルユースの中で経済への波及効果が最も高いとみられているのが、航空宇宙技術だ。
航空機産業に詳しい日本政策金融公庫総合研究所の海上(うなかみ)泰生主席研究員は「大型旅客機の部品点数は、自動車の約100倍の300万点に上るなど航空機産業の裾野は広い。防衛向けに開発された技術が民間向けにも使われれば、航空機産業全体の拡大につながる」と指摘する。
過去にも、準国産戦闘機「F2」の炭素繊維強化複合材技術が大型旅客機に使われた実績がある。
航空技術開発の牽引(けんいん)役と期待されているのが、「平成のゼロ戦」の異名を持つ技本の「先進技術実証機・ATD-X」だ。航空自衛隊の次期主力戦闘機に「F35」が決まり、国産の開発に空白期間が生まれるため実証機で技術基盤を維持。将来の国産戦闘機「F3」の原型になるともみられている。