関係者によると政府は今後、日本企業に海外企業買収などを解禁する枠組みを決定する見通しだ。
日本企業が海外進出の動きを加速している一方で、海外大手も日本での防衛事業拡大に動き出した。米大手ボーイングは「日本の産業は高い能力、技術的な専門性、優れた品質に定評があり、世界の中でも秀でている」(ボーイングジャパンのジョージ・マフェオ社長)として、日本での事業化調査に入ったことを明らかにした。
同社は「日本の防衛事業で日本企業との連携拡大を真剣に希望している」(同)としている。
防衛省幹部は「ボーイングやロッキード・マーチンが日本国内で受け皿企業を買収し、製造事業に乗り出す可能性もある。ボーイングは巨大企業。日本企業がこうしたメーカーと国内で合弁をやると、下請けになる心配がある」とみている。
新三原則を機に日米では互いの膝元で競争が本格化した格好だが、日本に勝算はあるのか。
経済産業省製造産業局の飯田陽一・航空機武器宇宙産業課長は「日本の防衛産業は(合理化の動機が働きにくい)『製造コストプラス利益』という仕組みの中で育ってきた。いくら技術が優れているといっても『ベストバリュー(費用対効果の追求)』という世界の常識に見合っていなければ国際市場には入れない。その意味で、ただちに国際市場で売れる日本の装備品などないのが実情だ」と話した。(佐藤健二)