ネックは、割高な建設費や各種の規制だ。
日本政策投資銀行の試算によると、ステーションに必要となる水素の圧縮機は欧州では8千万円程度が一般的なのに対し、国産の水素ステーションでは1億3千万円もかかる。もうひとつ、圧縮した水素を保管するタンクは欧州1千万円に対して国産6千万円で、コスト増大の要因となっている。
欧州より国内の安全基準が厳格なのが背景にあり、1カ所当たりの建設費は全体で4~5億円。ガソリンスタンドの1億円を大きく上回る。大阪ガスの関係者は「ステーションの建設費を下げるためには、利用するFCVの普及も進まなくてはいけない。ただ、どちらも高額なので良いサイクルが生まれにくいのが現状だ」と打ち明ける。
また、高圧ガス保安法に基づき、燃料ディスペンサー(補給器)と公道との距離は6メートル以上と定められており、4メートル以上のガソリンスタンドよりも広い敷地面積を求められる。さらに運転手が自ら水素の補給ができず、水素ステーションのスタッフが補給する必要があるなど規制が多い。
一方、現在整備されているのは、将来的な普及を見越して比較的大型のステーションが大半。同行関西支店企画調査課の山下真里奈副調査役は「大型施設の整備が前例となったことで、逆に新規参入のハードルがあがったともいえる」と指摘する。