ネックは割高な建設費と規制
もうひとつ、燃料電池車の普及に欠かせないのは、燃料をFCVに補給する水素ステーションの拡充だ。
自動車メーカーやガス会社で作る任意団体「燃料電池実用化推進協議会」は平成22年、FCVの普及に向けた「シナリオ」をつくった。水素ステーションの国内整備を先行させた上で、車体価格を引き下げるためFCVの大量生産に乗りだす。そして37年にFCVが200万台、水素ステーションは全国1千カ所とする青写真を描いた。これを受け、自動車メーカーやガス会社など11社が27年に水素ステーションを全国100カ所に展開する共同声明を出した。
ところが、6月時点で設置された水素ステーションは全国19カ所にすぎない。石油元売り大手のJX日鉱日石エネルギーや岩谷産業が新たな建設を表明し、計画中のものも含めると30カ所になるが、来年中でも60カ所程度にとどまる見通しだ。