原発停止に伴う火力燃料費の増大が電力各社の経営を圧迫。料金の抜本値上げが相次いでいる。中部電力も5月1日に家庭向け料金を平均3.77%値上げする。こうした中、高い電気料金を忌避する企業も出ている。
特殊ガラス製造の岡本硝子は昨春、東電の料金値上げを受け、プロジェクターなどに使う反射鏡の製造ラインの大半を本社のある千葉県柏市から新潟県柏崎市に移した。東電柏崎刈羽原発を抱える柏崎市では8年間、電気代の約半額が補助される優遇制度があるのが理由だ。
製造原価に占める電気代の割合は1割近くで、値上げ前に比べて、年間の電気代は約8000万円も上昇。「もし移転していなかったら、電気代の負担増は1億円以上に上っていた」(岡本毅社長)という。
すでに値上げを実施している北海道電力は経営が改善せず、再値上げの検討を表明している。値上げは営業地域の自治体への工場誘致に逆風となるほか、割安な新電力への顧客流出を加速させる可能性もある。