そして、何より大きいのが24年末に実施した希望退職だ。このとき2940人が退社したのに加え、自主退職などで子会社を含む連結の従業員数は500人減った。リストラや資産削減など「構造改革効果」は1665億円にも達し、昨年の営業赤字を相殺した。
なぜ? さえないシャープ株
シャープ再建の鍵を握るのが、奥田隆司会長が「再生の要」と位置づけた、省電力で高精細な液晶パネル「IGZO」。同社が世界に先駆けて実用化に成功した“虎の子”だ。このIGZO技術を採用した液晶ディスプレーを自社のスマートフォン(高機能携帯電話)に搭載した「IGZOモデル」も発売している。
だが、液晶事業を支えるのはこうした自社モデルの「IGZO」製品ではなく、他社に「部品」として供給されるIGZOだ。米アップルが昨秋発売した新型「iPad mini」のほか、中国の北京小米科技(シャオミ)にも、昨年後半からスマホ向けIGZOパネルを月100万枚程度受注することに成功。自社製品では利益を出せなかったIGZOを大口顧客に売り出すことで、ようやく反転攻勢に出る態勢が整った。