「服育」の必要性
「研究所というのは、みやしんの一番良い活用法だ。ファッションを志す若者は『安ければいい』ではない、ものづくりの基礎を学べるだろう」
13年5月、文化・ファッションテキスタイル研究所の開所式に駆けつけたファッションデザイナーの皆川明は、そう話した。
若手デザイナーの育成を目的に宮本が支援してきたグループから世に出た皆川は、大量生産の時代に独自の価値観を貫く宮本に共感する一人だ。
みやしんからは、15台の織機に加え、200以上にのぼるアパレルブランドとの協業で生み出された4万点近い生地のサンプル、その一つ一つの製法が記されたノートや原料となる糸や服地が引き継がれた。
研究所では、これらをデジタルデータとして保存し資料化する作業が進む傍ら、文化学園の学生や若手の職人たちが研修や見学を目的に出入りしている。