大手百貨店に営業時間短縮の動き 人材確保へ労働環境改善アピール
大手百貨店などで営業時間を短縮する動きが広まっている。三越伊勢丹ホールディングスと高島屋が4月から、一部店舗で営業時間を短縮したほか、流通大手のイオンも関東1都2県の総合スーパー42店で3月から、開店時間を午前7時から8時に繰り下げた。店舗運営の効率化に加え、労働環境の改善をアピールして人材確保を図る狙いがある。
高島屋は、旗艦店の日本橋高島屋(東京都中央区)で4月から、午前10時から午後8時までだった営業時間を、午前10時半から午後7時半までと1時間短縮する。当面は8月までだが、売り上げに影響がなければ9月以降も続ける。大宮店(さいたま市)と堺店(大阪府堺市)は3月から営業時間を短縮しており、今後は他店でも見直しを検討する。
三越伊勢丹は、三越日本橋本店(東京都中央区)など3店で4月から一部フロアの営業時間を30分短縮する方針だ。
営業時間を短縮する狙いについて、三越伊勢丹は「労働環境の改善で、接客の向上につながる」と強調する。だが、流通業界に詳しい日本経済大の西村尚純教授は「人手不足の中で、経営効率を高める必要と人材確保の大切さに気づき始めた」とみる。
厚生労働省が1日発表した今年1月の有効求人倍率は1.28倍で約24年ぶりの高水準となった。人手不足感が強まる中、流通業界はインターネット通販との競争も激化している。労働環境の改善をアピールして、優秀な人材を奪い合う状況は今後も続きそうだ。
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