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運命に立ち向かう リアルな感情出したい 舞台「里見八犬伝」 山崎賢人さんインタビュー
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「自分の人生は自分で決める」と話す、俳優の山崎賢人さん=2014年9月26日、東京都千代田区(野村成次撮影) テレビドラマ「水球ヤンキース」(フジテレビ系、7~9月放送)で人気が急上昇し、来春放送のNHK連続テレビ小説「まれ」への出演も決まって、勢いに乗る俳優の山崎賢人(20)が、10月末に開幕する舞台「里見八犬伝」で初舞台・初主演をつとめる。時代劇も初めての挑戦と「初めてづくし」。自分の中で新しいものを見つけたい」と意気込む。
江戸時代に滝沢馬琴が書いた長編小説「南総里見八犬伝」をベースに、新しい解釈やオリジナルの設定を加えたスペクタクル時代劇の2年ぶりの再演。8人の若者(八犬士)が、室町時代の後期を舞台に、悪霊との戦いを繰り広げる冒険活劇で、演出は1983年の映画「里見八犬伝」を監督した深作欣二氏の長男、深作健太氏が手がける。
山崎が演じるのは犬塚信乃。映画版では京本政樹が演じた。今回は、狂気と矛盾が入り交じった複雑な内面を持つ人物で、「壊れた信乃をどれだけ演じられるか」に苦労している。
ただ共感できるのが「自分の人生は自分で決める」という点。「『決まったレールの上を歩く』という考え方はつまらない。信乃も運命に立ち向かっている。何かに反発する気持ちは、リアルな感情として出したい」
八犬士がそれぞれに持つ「仁義八行」の玉(仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌)。信乃が持つのは「孝」だ。「僕自身、親孝行できているかというと、あまりできていないかも(笑)。仁義八行は一つ一つの言葉に意味があって、今の時代の人にむけてのメッセージにもなっている。見た人たちが自分を当てはめてみるのも面白い。希望を見つけてもらえる舞台にできたら」
舞台は「一度はやりたいと思っていた。この仕事が決まってからは、舞台に立つ側の気持ちを意識するようになった」と話す。稽古は「人を演じる気持ちはドラマなど映像と変わらないけれど、せりふの言い回しや動きが違う」と新鮮なようだ。深作からは、自分の中に「スピードメーター」を持ち、信乃の狂気や矛盾など、感情の力の入れ具合を調整するようアドバイスを受けた。
並行して殺陣も練習している。「水球ヤンキース」の撮影で、自然と筋肉がついたことが大きなプラスとなっているが、「抜刀から納刀までの動き、すり足などリアルな部分を出すのが難しい」。特に人を斬るシーン。深作からは「料理するとき肉は包丁でなかなか切れない。そこを思いっきり切るんだよ」と指導された、と苦笑する。
時代劇が好きで出演したいと思っていた夢も今回かなう。「『サムライってかっこいいな』と思っていました。僕が舞台でやることで、時代劇を見てこなかった若い人たちが見るきっかけになれば。殺陣やアクションは見ていて爽快感があり、楽しんでいただけると思います」
20歳を迎えたばかり。NHK「まれ」への出演は、これまでの連続テレビ小説で東出昌大(「ごちそうさん」)、福士蒼汰(「あまちゃん」)らが飛躍したように若手男優の登竜門的存在となっており、新たな転機となりそうだ。
「いまは目の前のことに集中して、一つ一つをちゃんとこなしていきたい。20代でしかできない役をやってみたいと思います。これから人生経験を積んで、人間としての思いや深みを出せるような30代を目指します」。(文:藤沢志穂子/撮影:野村成次/SANKEI EXPRESS)
10月31日~11月17日 新国立劇場 中劇場。問い合わせ:サンライズプロモーション (電)0570・00・3337。大阪公演あり。