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「信じる」という気持ち、すごく分かります 舞台「ジャンヌ・ダルク」 有村架純さんインタビュー

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「信じる」という気持ち、すごく分かります 舞台「ジャンヌ・ダルク」 有村架純さんインタビュー

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「落ち込んだら、とことん落ち込んで寝て、次の日に持ち越さない」と初舞台に意気込む有村架純(かすみ)さん=2014年9月3日、東京都港区(緑川真実さん撮影)  相手をまっすぐ見据えて話す。澄んだ大きな瞳からは、いちずに女優の仕事に取り組もうとする意志の強さが伝わって来る。愛らしい表情の中にある、秘めた「ど根性」。昨年のNHK連続テレビ小説「あまちゃん」で1980年代の少女を演じ一躍、人気が全国区となった有村架純(ありむら・かすみ、21)、10月は舞台「ジャンヌ・ダルク」に挑む。本格的な女優デビューから4年、初舞台で初主演という挑戦だ。

 伝えることを考える

 「舞台はやりたいと思っていたので、いい機会と思いました。大きな作品で私にできるのかな、と心配な気持ちもありました」

 15世紀初頭のフランスで「神の声」を聞き、イギリス軍との戦いを勝利に導きながら、「異端者」とされて19歳で火刑となった伝説のジャンヌ。女優ミラ・ジョヴォヴィッチ主演の映画「ジャンヌ・ダルク」(1999年)を見るなど勉強を進めるうち、等身大の女性像を演じようと決めた。

 「ミラの演じるジャンヌは神にとりつかれて、気が狂ったように叫んでいる場面もある。私はもっと人間らしくしたい。19歳の普通の少女が、男の人たちの中に混じって一生懸命、頑張っているような」

 テレビドラマを見て「私ならこう演じるのにな」と女優を志し、自分で芸能事務所を探して、志願して、落ち続けてもあきらめなかった。「女優になりたい」という夢を信じて努力を重ねてきた自分と、神をいちずに信じた同年代のジャンヌの姿が重なる。「『信じる』という気持ちはすごく分かります」

 舞台で以前ジャンヌを演じた堀北真希からは「本当に大変だから頑張ってね」とエールを送られた。その大変さをかみしめる稽古が大詰めを迎えている。

 「ドラマも舞台も気持ちでお芝居するのは同じ。でも技術面で舞台上の芝居を成り立たせることに苦戦。気持ちをコントロールできずに言葉をばーっと言っちゃったり。見ているお客さまに対して、もっと伝えることを考えなくてはと」

 重いよろいを身に着けての殺陣や階段の上り下りなど派手な立ち回りもある。稽古の始まる1時間前には稽古場に入ってウオーミングアップ、自宅では寝る前の筋トレを欠かさない。「疲れてパタッと寝ちゃうときもありますけど(笑)。だいぶ足に筋肉がついてきました。舞台で、ピタッと止まれなかった動きができるようになって」

 頭ポンポン、うれしかった

 食事にも気を使う。1人暮らしの自宅では自炊。自分で研究して、体に良いものを食べるよう心がける。「スタミナが足りないと思うときはお肉を食べて。疲れがたまって体がだるくならないようにクエン酸を取ろうと、梅干しやグレープフルーツを食べてます」

 主演で座長としての責任は重い。うまく演技ができなくて、悔しくて人知れず泣くこともある。「でも私が手を抜くわけにはいかない。時間は進んでいくし自分の代わりはいない。とにかく切り替える。そんな時は、とことん落ち込んで、寝て、次の日に持ち越さないようにします」

 そんな「ど根性」の有村を周囲は温かく見守る。演出家・白井晃に共演の東山紀之、西岡徳馬ほか、100人を超すというエキストラまで。「西岡さんが頭をポンポン、ってたたいてくれて『頑張ってるよ、頑張ってる』って。普段そう褒めてもらったり、頭をなでられることがないので、うれしかったですね」とはにかんだ。(文:藤沢志穂子/撮影:フォトグラファー 緑川真実(まなみ)/SANKEI EXPRESS

 ■ありむら・かすみ 1993年2月13日生まれ、兵庫県出身。2010年「ハガネの女」で連続ドラマ初出演。13年にNHK朝の連続テレビ小説「あまちゃん」で小泉今日子演じる天野春子の若かりし頃を好演して注目を集める。以降、CMの起用社数は一気に増え、今夏公開のアニメ映画「思い出のマーニー」では声優にも挑戦。来春には映画「ストロボ・エッジ」の公開が控えるなど、活躍の幅を広げている。

 【ガイド】

 10月7~24日 赤坂ACTシアター(東京都港区赤坂5の3の2)。11月15~18日 大阪・オリックス劇場、11月23・24日 横浜・KAAT神奈川芸術劇場。問い合わせはキョードー東京(電)0570・550・799。

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