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愛する家族と毎日過ごすことが大事 映画「アバウト・タイム 愛おしい時間について」 リチャード・カーティス監督インタビュー

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愛する家族と毎日過ごすことが大事 映画「アバウト・タイム 愛おしい時間について」 リチャード・カーティス監督インタビュー

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「できれば子供は3人きょうだいが望ましい」と持論を展開するリチャード・カーチス監督=2014年7月8日、東京都千代田区(栗橋隆悦撮影)  英国のヒットメーカー、リチャード・カーティス監督(57)の新作ロマンチックコメディーは、監督生活の集大成となる渾身の作品となった。いみじくもタイトルの「アバウト・タイム 愛おしい時間について」(原題『About Time』、脚本、製作総指揮も担当)が示唆するように、カーティス監督は監督業から身を引くには「いい頃合い」と判断した節がある。今後は、業界のトップランナーへと駆け上がる足場となった本業の脚本執筆に集中するという。

 皮肉めいた面白み

 どんな心境の変化があったのだろう。「作品のメッセージがまさに僕の引退理由なんですよ。時間を有効に使い、愛する家族と一緒に毎日を大切に過ごすことが大事-と痛切に感じました。例えば、1つの作品を完成させるために3年間も精力を傾け続けたとしたら、家族とのだんらんなど絶対にできませんからね」。カーティス監督は吐露した。

 主人公のティム(ドーナル・グリーソン)は21歳の誕生日に、父親(ビル・ナイ)から「お前にはタイムトラベルの能力がある」と知らされる。半信半疑で父親の言う通りの手順を踏むと、本当に過去へ戻ってしまう。この特殊な能力を乱用して、過去にしでかした数々の失敗を帳消しにしていく中で、メアリー(レイチェル・マクアダムス)と出会い、一目惚れ。タイムトラベルを有効活用してアプローチを試み、やがて2人は結婚する。子供たちに恵まれ、弁護士の職も得て、堅実に家庭を築いていく中で、ティムは本来は一度しか流れない時間のかけがえのなさに気づき始める。

 脚本にタイムトラベルの要素を盛り込んだため、本作はSFのジャンルにも紐(ひも)づけられるものとなったが、実際、その作風といえば、ごく普通の日常生活に優しいまなざしを向けた、いかにも穏やかなものだった。「私がタイムトラベルを利用したのは、あくまでも物語をより面白くするための工夫に過ぎません。作品のメッセージが『毎日、普通の生活を送ることが一番の幸せ』と、あまりにシンプルなものでしたからね。自由にタイムトラベルできる人間がメッセージの大切さに気付くところが、皮肉めいていて面白いんです」

 きょうだいは3人が望ましい

 本作では親子関係の一つのあり方がさまざまに提示されている。「僕も年をとり、諸事情が絡み合って、家族間の関係も複雑なものとなりました。例えば、このわずか5年間に僕は父、母、妹を失いました。今、僕は親子関係に興味があるんです」。ティムはカーティス監督の思いを伝える分身ともいえた。

 ちなみに、親が子供との良好な関係を育むには「3人きょうだいが望ましい」というのが持論だ。作中にも同様のせりふを登場させたが、自身を取り巻くこんな経験を踏まえたものだ。「きょうだいが2人の場合、1人が賢いと、もう1人は必要以上に自分を卑下してしまうものなんです。3人ならば能力がばらけて、格差を感じにくくなるでしょう」。ただ、4人きょうだいのカーティス監督は「多すぎてもだめ」とくぎを刺した。もちろん自分は3人の子持ちだ。9月27日、全国公開。(文:高橋天地(たかくに)/撮影:栗橋隆悦/SANKEI EXPRESS

 ■Richard Curtis 1956年11月8日、ニュージーランド生まれ。英国籍の脚本家。94年「フォー・ウェディング」(仏セザール賞と英アカデミー賞で作品賞を受賞。米アカデミー賞の脚本賞と作品賞にノミネート)、99年「ノッティングヒルの恋人」、2001年「ブリジット・ジョーンズの日記」、11年「戦火の馬」(共同脚本)など。03年「ラブ・アクチュアリー」、09年「パイレーツ・ロック」では脚本に加えて監督も務めた。

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