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やりたいことをやってみた 4年ぶり新譜「バトン」発売 寺岡呼人さんインタビュー

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やりたいことをやってみた 4年ぶり新譜「バトン」発売 寺岡呼人さんインタビュー

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4年ぶりの新作アルバム「バトン」を発表した寺岡呼人(よひと)さん=2014年9月24日、東京都新宿区(宮崎瑞穂撮影)  ゆずや植村花菜(31)のプロデューサー、JUN SKY WALKER(S)のベーシストと多彩な顔を持つミュージシャン、寺岡呼人(よひと、46)が、4年ぶりの新作アルバム「バトン」を発表した。所属する大手レーベルを離れ、インディーズとなるタワーレコードからの発売。「自分の決めた人選と規模でやりたいことをやってみようと思った」と原点に立ち返った作品だ。

 人生をリレーにたとえ

 表題曲「バトン」は、親交の深いミスター・チルドレンの桜井和寿(44)との共作で、人の一生をグラウンド一周を走るリレーに例えた歌。昨年11月に東京と大阪で開かれた、寺岡を中心とする、若手からべテランまで3世代のミュージシャンが集うライブイベント「ゴールデン サークル」で初めて披露、大きな反響を得た。

 桜井は寺岡のソロツアーにサポートメンバーとして同行して以来の仲。カフェで朝9時に待ち合わせ、パンケーキを食べながら構想を練ったという。

 「人は愛情とともに、怒りや悲しみも受け継いでしまうことがある。それを優しさに変えていこう。誰も待っていないかもしれないけど駆けていこう、あともう少し-」。詞の骨格を成す人生に対する優しい目線は、桜井のアイデアによる部分が大きい。「生きていることがバトンを持っているようなもの。どの世代の人にも通じることだと思う」と話す。

 収録曲「ディパーチャー」を作曲したシングライク・トーキングの佐藤竹善(51)との交流は数年前、フェイスブックから始まった。「磯貝サイモン(31)とか、僕の周囲にいる30代のミュージシャンにファンが多かったので」。佐藤が得意とするAOR(大人向けロック)の世界を入れようと考えての依頼で、「コーラスの多重録音も超カッコイイ」と満足げだ。

 「縦の歴史」を意識して

 「音楽が人生を変えることもある」、だから責任は重いと音楽業界に対して言いたいことを言い、行動に移してきた。その姿勢は、2001年に始めたゴールデン サークルにも共通する。ソロデビュー20周年の昨年は桜井にゆず、小田和正(67)、奥田民生(49)、植村ら豪華メンバーが集まった。意識するのは「縦の歴史」だ。

 「欧米のアニメーション番組などではサッチモ(ルイ・アームストロング)など大物ミュージシャンの歌が自然に出て来る。日本ではそうした『縦の歴史』を感じる瞬間は少ない。僕はそうした機会を提示したい」。

 今年はゴールデン サークルの代わりにソロツアーを展開、11月1日の名古屋を皮切りに年内バンド4本、弾き語り9本の計13本のライブを行う。

 プロデュース業は「この1~2年、新鮮味を感じられなくなっていた」。だが最近、桜井とGAKU-MC(44)によるユニット「ウカスカジー」を手がけて「久々に楽しいと思った。原点に戻った」と話す。「相手の良いところを最大限、引き出す」「詞を大事にする」という手法は植村の、祖母に関するとりとめのない思い出話を歌にした「トイレの神様」の大ヒットにつながった。プロデュース業でも新境地が期待できそうだ。(文:藤沢志穂子/撮影:宮崎瑞穂/SANKEI EXPRESS

 ■てらおか・よひと 1968年2月7日、広島県福山市生まれ。88年JUN SKY WALKER(S)のベーシストとしてデビュー。93年ソロ活動を開始。並行してプロデュース活動も行い、ゆず、植村花菜ほか、最近では桜井和寿とGAKU-MCのユニット、ウカスカジーも担当。2001年からは3世代が集うライブイベント「ゴールデン サークル」も手がけるなど活動は幅広い。

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