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困難に挑戦することこそ僕のモットー ファビアン・エローさんインタビュー

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困難に挑戦することこそ僕のモットー ファビアン・エローさんインタビュー

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「監督からアドバイスを受け、リアリティーを出すために闘争心を持って撮影に臨みました」と振り返る、俳優のファビアン・エローさん=2014年6月30日、東京都千代田区(蔵賢斗撮影)  □映画「グレート デイズ! -夢に挑んだ父と子-」

 6月のフランス映画祭2014の目玉となった「グレート デイズ! -夢に挑んだ父と子-」(ニルス・タベルニエ監督兼共同脚本)は、車いす生活を送る17歳の少年と頑固者の父親がトライアスロン大会に挑み、生きがいとは何かを考えさせてくれる物語。

 作品のプロモーションで初来日した主演のファビアン・エロー(20)は「演技の経験などなかったけれど、『人生を変えるかもしれない大きなチャンスだ』と考え、思い切って主演のオーディションを受けたところ、何と合格してしまいました。4カ月の演技訓練は苦しかったけれど面白かった。困難に挑戦することこそ僕のモットーなんです」と語り、チャレンジ精神の大切さを強調した。エローの力強い生き方をいろいろと聞くにつけ、彼もまた車いすの利用者であることなど、すっかり忘れてしまいそうになる。

 自由のため必死に戦う

 生まれつき体にハンディキャップを持ち、自宅での静かな生活を強いられてきたジュリアン(エロー)。失業して久しぶりに自宅に戻った父、ポール(ジャック・ガンブラン)と過ごす時間を心待ちにしていたのに、ポールは口をきこうとしない。思春期真っ直中の息子との、コミュニケーションの取り方が分からないというのだ。そんな態度に不満を募らせたジュリアンは、かつて父がトライアスロンの選手だったことを知り、自分もトライアスロンに挑戦することを決意する。激しく反対する両親を説き伏せ、父とチームを結成。一方、身体障害者に参加資格を与えようとしない大会事務局に対しては、友人と事務局が入る建物に侵入し、幹部に直談判をした結果、ついには強引に出場を認めさせてしまう。

 ジュリアンに負けず劣らず、エローもエネルギッシュな若者だった。「何としてもやりたいことがあれば親と大げんかしてでも実現させてきました」。クランクインの4カ月前には念願の自動車免許を取得しようとして、心配で反対する両親と大げんかとなり、両親に味方する周囲の大人たちをも巻き込んでハラハラさせたそうだ。

 「まさにけんかでした。自分の人生なのだから、自由を勝ち取るために必死に戦うことは生きる上での絶対条件だと思います。難問や試練があるからといって、簡単にあきらめてしまったら、決して前に進みません。うまくいかないときだってあるでしょう。それでも『とことんやったんだ』という満足感が自分の中に芽ばえて、自分への評価も高くなり、自信だってつくんです」

 スタントなしで山道60キロ滑走

 そんなエローの言葉を裏付けるかのように、父と練習に励むジュリアンの表情は生き生きとしていて、自信に満ち、時折見せるとびっきりのいい笑顔がまた印象的だ。父と自転車に2人乗りしたジュリアンが山道の急坂を時速60キロのスピードで気持ちよさそうに滑走していく場面を見ていると、こちらも爽快な気分になってくる。「徹底的にリアリティーを追求したのでスタントなしで撮影しました」。さすがにクラッシュして、自転車ごとがけの下へ落ちてしまう次の場面ではスタントを頼ったそうだ。

 演技を通して他人の人生を生きたことで、これまで味わったことがないような面白さを見つけた。「自分の人生だったら絶対に味わえない感情を、自分の心の中から探してくるという作業を繰り返したあと、カメラの前でその感情を提示して、共演者と一緒に表現していくこと。そんな作業を僕はやったことがありません」。試行錯誤の結果、ジュリアンは思いの外、エローよりもいらいらしやすい、怒りっぽい人物に仕上がったという。

 最近、カメラの撮り方に興味を持つようになった。「どんなアングルで撮るべきかと、気になるんです。こんな気持ちになれたのも映画に出演したからでしょう。まだ僕は高校の最終学年が残っているので、ちゃんと学業を終えてから、将来どの道に進むべきかゆっくり考えようと思います」

 8月29日からTOHOシネマズ日本橋ほかで全国順次公開。(文:高橋天地(たかくに)/撮影:蔵賢斗/SANKEI EXPRESS

 ■Fabien Heraud 1993年11月21日、フランス・ナント生まれ。フランス中の障害者施設を訪ね、ジュリアン役を探していたニルス・タベルニエ監督にオーディションで抜擢(ばってき)される。本作が映画初出演。自動車運転免許の取得をきっかけに、障害者が自分自身で車を運転するための支援組織「ハンディキャップ・モバイル」を立ち上げる。

 ※映画紹介写真にアプリ【かざすンAR】をインストールしたスマホをかざすと、関連する動画を視聴できます(本日の内容は6日間有効です<2014年9月3日まで>)。アプリは「App Store」「Google Playストア」からダウンロードできます(無料)。サポートサイトはhttp://sankei.jp/cl/KazasunAR

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