サッカーのワールドカップ（Ｗ杯）ブラジル大会では、日本代表残念でしたね。応援していました。フランスに住んでいる日本人の友達は、おうちやお店で熱い声援を送っていましたよ。ブラジルまで応援に駆けつけた人もいました。日本からブラジルに行くのはとても遠いそうですが、フランスからは飛行機で約１２時間の旅です。

　フランスの年度末は６月なのです。最近では１カ月～２カ月と長いバカンスを取る人は減ってきましたが、年度末を終えたフランス人はやっぱり浮き足立っています。大学生はもう夏休みに入っていて、１０月初頭までの長い休みを満喫します！　小学生や中学生、高校生は今週末から２カ月の夏休みに入ります。

　３種類の進学資格

　今日は、夏休み前の高校生の最重要行事、バカロレアについてお話ししたいと思います。最終学年を締めくくる、フランスの統一国家試験それがバカロレアです。高校の修了を証明し、大学など高等教育機関への入学が認められる国家資格です。今年は６月１６日から２３日まで実施されました。結果発表は７月４日。６８万人（！）の受験者はドキドキしながら結果を待っていることでしょう。

　バカロレアは３種類あります。まず１つ目は、一般バカロレア。１８０８年にナポレオン・ボナパルトが創設しました。大学やエリート養成機関のグランゼコールなど、高等教育機関で学びたい人が対象です。一般バカロレアには、経済・社会系、人文系、科学系の３つがあり、科学系が一番難しいんですよ。

　２つ目は、１９６８年に創設された技術バカロレアです。サービス産業系、工業系、舞台芸術系、ホテル業系など、職業人を養成することを目的としています。

　３つ目は、８５年に創設された職業バカロレアです。就職を希望する人が主な対象で、職業資格の一つと考えられていますが、合格者には高等教育進学資格が与えられます。

　技術系でも哲学

　フランスらしい科目は、哲学でしょうか。試験時間はなんと４時間もあるんですよ。これは一般バカロレアの経済・社会系や人文系だけでなく、科学系はもちろんのこと、技術バカロレアでも必須なんですよ。論理的思考力が大切だと考えられているので、文系・理系は関係ないんです。

　他の科目は、文学、数学、歴史・地理、物理・科学、現代国語、外国語、ラテン語など系に関係なく多岐にわたるので、試験勉強は本当に本当に大変なんです！

娘のソリータは国立高等装飾美術大学（アールデコ・パリ）に在学中ですが、バカロレアの時期になると、当時は気持ちが全然落ち着かなかったことを思い出しました。何年か後は息子のディエゴの番です！

　バカロレアの結果発表まであと少し。せっかちな私は猛勉強の夏休みを過ごす日本の受験生の皆さんにも朗報が届くことを願ってやみません！！（フランス人アーティスト　クレモンティーヌ／ＳＡＮＫＥＩ　ＥＸＰＲＥＳＳ）

　■Ｃｌｅｍｅｎｔｉｎｅ　パリ生まれ。レコードコレクターの父親の影響でジャズに囲まれて育つ。１９８８年に歌手デビューし、９２年から日本で活動を本格化。以来、ジャズ、ポップス、ボサノバなどさまざまなジャンルの作品を発表。２０１０年、サントリー「ＡＬＬ－ＦＲＥＥ」のＣＭ曲に起用された「天才バカボン」の主題歌をはじめ、日本のアニメソングをフランス語でカバーした「アニメンティーヌ」がヒット。音楽だけでなく、オンオフを自然体で実践するライフスタイルも注目を浴びている。パリ在住。ｐｏｓｓｉｏｎ－ｈ．ｃｏｍ／ｃｌｅ／