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【This Week】(6月16~22日) 南スーダンPKO 5次隊が交代

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【This Week】(6月16~22日) 南スーダンPKO 5次隊が交代

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6月5日、南スーダンの首都ジュバにある国連施設内の避難民キャンプで、排水溝の掘削作業をする自衛隊員=2014年(共同)  想定外の危険な任務に

 南スーダンの国連平和維持活動(PKO)で、陸上自衛隊5次隊(約400人)が6月16日、半年間の任務を終え、6次隊と交代する。5次隊が着任した昨年12月、南スーダンは内戦状態に陥り、想定外の危険な任務となった。自衛隊にとって和平が事実上崩れた状況下のPKOは、初参加のカンボジア以来。日本政府は「武力紛争」は起きていないとする立場を維持しているが、現場の部隊は武器携行命令や韓国軍への銃弾提供など異例ずくめの対応を迫られた。

 後戻りした局面

 4次隊と5次隊の交代式が開かれた昨年12月15日。夜に入り、マシャール前副大統領支持派と政府軍との間で戦闘が始まった。首都ジュバの国連施設にある自衛隊宿営地でも激しい銃撃戦の音が聞こえた。5次隊の井川賢一隊長(45)は「翌日、国連施設の正門に数百人の市民が押し寄せた」と振り返る。

 国連は施設に市民を受け入れ、5次隊はトイレづくりや給水作業を通じて避難民キャンプを整備。本来の任務のインフラ整備はできなかった。

 井川隊長は「派遣目的は国造りの支援。国内の情勢が変化し、その局面が後戻りした。今は避難民の施設整備が国造り支援の一環だと思っている」と語った。

 昨年(2013年)12月23日には東部ジョングレイ州に展開する韓国軍に、国連を通じて銃弾1万発を提供し、PKOで他国軍への初の武器供与となった。日本政府は武器輸出三原則の例外扱いとして持ち回り閣議で提供を決めた。

 「市民の保護」に重点

 「正当防衛や緊急避難に当たる場合は射撃を許可する」。1月上旬、自衛隊宿営地の近くで銃声が響いた。井川隊長は全隊員に防弾チョッキ着用、武器携行の命令を出した。政府軍の脱走兵が発砲しただけで、戦闘ではないと判明するまで数時間、緊張を強いられた。

 20年以上続いた南北スーダンの紛争は2005年に終結し、南スーダンは11年に独立した。日本政府は、昨年(2013年)12月に始まった戦闘は「武力紛争」に当たらず「PKO法上の紛争当事者は存在しない」(内閣府国際平和協力本部の高橋礼一郎事務局長)という建前を崩していない。

 しかし、実際は政府軍とマシャール派の武力衝突が続いている。インドのPKO要員2人が巻き込まれて犠牲になった。

 治安悪化に懸念を強めた国連安全保障理事会は5月27日、PKOの重点を「国造り支援」から「市民の保護」に移す決議を採択した。日本政府関係者は「今は落ち着いていても、いつまた戦闘が激化するか分からない」と不安を漏らす。(共同/SANKEI EXPRESS

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