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【ブラジルW杯】地元も恐れる「毅然カード」 W杯開幕戦、西村主審が笛 日本人でトリオ

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【ブラジルW杯】地元も恐れる「毅然カード」 W杯開幕戦、西村主審が笛 日本人でトリオ

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W杯南アフリカ大会の準々決勝ブラジル-オランダ戦で毅然とした態度でレッドカードを示す西村雄一主審=2010年7月2日、南アフリカ・東ケープ州ポートエリザベス(ロイター)  サッカーのワールドカップ(W杯)ブラジル大会が6月12日(日本時間13日)、日本人の主審が吹く笛で開幕する。サンパウロで行われる地元ブラジルとクロアチアの開幕戦の審判団が、西村雄一主審(42)と相楽亨(さがら・とおる、37)、名木(なぎ)利幸(42)の両副審で組む日本人トリオに決まった。地元では、前回のW杯南アフリカ大会でブラジルが敗れた準々決勝で自軍選手に一発退場のレッドカードを出した西村主審との因縁を恐れる声も。その毅然(きぜん)とした判定は世界に知れ渡っており、W杯全体の判定に大きな影響を及ぼすとされる開幕戦の主審の重責を担うことになった。

 「3人のコミュニケーションの良さを生かし、選手も観客も満足できる判定をしたい」。西村さんに臆するところはない。

 西村さんと相楽さんは2010年南アフリカ大会でもコンビを組み、4試合を担当した。名木さんは今大会が初参加。W杯の審判団は、原則的に対戦チームの所属する大陸連盟以外から選ばれる。日本人が開幕戦で主審を務めるのも、トリオでW杯の試合を仕切るのも初の快挙だ。

 日本人審判の国際的地位向上に取り組んできた日本サッカー協会の大仁邦弥会長は「日本代表が決勝に行くようなもの」と喜んだ。

 ブラジル選手に退場

 「選手の活躍を支える存在になりたい」と審判の道を志した西村さんは1999年に1級審判員に登録された。2004年からプロフェッショナルレフェリーとしてJリーグにとどまらず国際試合で主審を務め、12年にはアジア・サッカー連盟の最優秀主審に輝いた。

 注目を集めたのが南ア大会準々決勝のブラジル対オランダ戦。後半に逆転されたブラジルの選手に退場処分を下した。過激なブラジルサポーターの熱気に包まれたスタジアムで、オランダの選手を踏み付けていたことをしっかりと確認。欧州メディアから「冷静な正しい判断だった」と称賛され、ブラジルも沈黙するしかなかった。

 西村さんが開幕戦の主審に決まると、ブラジルのメディアは一斉に「因縁の審判」と大きく報道。有力紙グロボ(電子版)は「ブラジル人には良い記憶を思い起こさせない」と恐れながらも、「精力的で規律がある」と高く評価した。

 選手が輝けるよう

 地元での開幕戦でブラジルに勝負を左右するレッドカードやPKの判定を下す。想像するだけでも恐ろしいが、今月(6月)6日に公開された審判研修会後、西村さんは「いつも通りやるだけ」と余裕の表情で語った。すでにその覚悟はできていたようだ。

 長年コンビを組んできた副審の相楽さんも「ブラジルでやる、ブラジルの試合。最高に難しいからこそ体験したい」と、重圧どころか楽しみにしているほど。W杯初経験となる名木さんは「副審が判断するプレーは得点に直結することが多い。しっかりジャッジしたい」と気を引き締めた。

 3人に共通するのが「審判が目立たないのが良い試合」という思いだ。西村さんは「主役の選手たちが輝けるように全力でサポートする」と語る。

 日本人審判が日本代表の試合で笛を吹くことはできない。「日本が勝ち進めば私自身は早く大会を終えられる。早く帰国できたらいい」と、西村さん。日本代表の先陣を切り、ピッチに立つ。(SANKEI EXPRESS

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