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ブラジルW杯 “無敵艦隊”1億円報奨金に批判の嵐 「国民への侮辱だ」

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ブラジルW杯 “無敵艦隊”1億円報奨金に批判の嵐 「国民への侮辱だ」

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サッカーのワールドカップ・ブラジル大会の開幕戦が行われるサンパウロ・アリーナ  サッカーのワールドカップ(W杯)ブラジル大会(現地時間6月12日開幕)でスペインが連覇を達成した場合、各選手に72万ユーロ(約1億円)の報奨金がスペインサッカー連盟(REFE)から支払われる契約が結ばれたが、国会議員らの間では「長期の経済苦境で国民の多くが耐乏生活を続けている中、高額すぎて著しくバランスを欠く」などといった批判の声が上がっている。

 一部の議員は国会でこの問題を取り上げ、「非常識を糾弾する」としており、“無敵艦隊”は思わぬ場外闘争を抱えた形だ。

 独の2倍、出場国で突出

 スペイン代表(愛称、ラ・ロハ=赤い軍団)のイケル・カシージャス主将(33)とシャビ・エルナンデス副主将(34)は6月3日、選手たちを代表してREFEとの間で、「優勝した場合は選手1人当たり報奨金(ボーナス)72万ユーロ、準優勝なら32万ユーロ、ベスト4なら18万ユーロを受け取る」内容の契約にサインした。72万ユーロは、前回の南アフリカ大会優勝時に支払われた60万ユーロを20%増額されている。

 スペインの日刊スポーツ紙、アスによると、この金額は出場32カ国中、突出した最高額であり、開催国であるブラジルの優勝達成時の報奨金は33万ユーロ(約4600万円)、ドイツは30万ユーロ(約4200万円)となっている。野党・社会労働党のスサーナ・ロス下院議員(44)は「72万ユーロとは実情を顧みない金額であり、国民への侮辱だ」と主張。カタルーニャ同盟のジョセップ・アントニー・デュラン議員(62)はツイッターで「なぜスペインがドイツの2倍以上も払えるのだ。経済苦境のスペインが好調のドイツと比べて2倍も豊かだというのか。ありえない話だ」とつぶやき、この問題を国会で取り上げ、「まるで危機感がない別世界の理不尽を糾弾する」と息巻いた。

 「税金ではない」反論

 スペインは2007年に米国発のサブプライム住宅ローン危機が表面化し、世界金融危機が波及すると一気に不動産バブルがはじけ、景気後退局面に入り、いまだに抜け出せずにいる。政府は緊縮財政を続け、失業率は昨年末時点で26.1%と高止まりしたままで、20歳代前半に限ると、50%を超している。

 スペイン代表は実は、前回大会時に受け取った60万ユーロも、事前の提示額では各国代表中、最高だった(2位はアルゼンチンの51万ユーロ、3位はイングランドの48万ユーロ)。しかし、前回時はすでに経済苦境に陥っていたにもかかわらず、批判の声は今回ほどは上がらなかった。

 代表はその後、2012年の欧州選手権(ユーロ)も連覇し、この4年間、世界ランキング1位を保ち続けた。しかるに国民や政治家の目が厳しいのは、経済苦境が長引いていることが背景にある。社会に対する国民の高まる不満を背景に、国民の支持が低下した国王フアン・カルロス1世(76)も退位発表を余儀なくされている。

 REFEのアンヘル・マリア・ビリャール会長(64)は「報奨金はスポンサーから得た金で支払われるのであり、税金が使われるわけではない。批判はお門違いだ」と反論しているが、釈然としない感情を抱いている国民は多い。

 スペイン代表のフアン・マタ選手(26)は「自分たちにできることは、ただ勝つことだけ。周囲の雑音に耳を傾けている余裕はない」と話す。(6月)7日現在、英ブックメーカー(賭け屋)の大手「ウィリアムヒル」の優勝国オッズ(倍率)ではブラジルが首位で4倍。5倍のアルゼンチン、7倍のドイツがこれに続き、スペインは7.5倍で4位につけている。果たして運命やいかに。(SANKEI EXPRESS

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