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【ブラジルW杯】ニッポンの「交番」でブラジルの治安改善
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ブラジル・サンパウロ州に設置された「交番」=2011年(国際協力機構提供・共同) 6月12日からサッカー・ワールドカップ(W杯)が開かれるブラジル全土に交番制度を普及させるため、警察庁と国際協力機構(JICA)が現地の警察を支援することになった。6月上旬に警官を派遣、調査や指導を実施し、劣悪な治安状況の改善を目指す。JICAの担当者は、南米初となる2016年のリオデジャネイロ五輪に向けて「大きな効果を期待している」と意気込む。
ブラジルでは既に、日本の協力でサンパウロ州など12州が交番制度を導入した。サンパウロ州内には昨年(2013年)4月時点で210カ所の交番があり、ブラジル政府は全土に広げることを目標としている。
日本側は今後3年間にわたる協力を目指し、来月に埼玉、神奈川両県警のベテラン警官各1人をサンパウロ州に派遣する。
ブラジルの交番は日本でおなじみの徒歩や自転車でのパトロールや戸別訪問のほか、図書館を併設したりサッカー教室を開いたりする独自のアイデアで地域社会への浸透を図っている。
JICAによると、住民の信頼が得られることで犯罪容疑者の特定につながる情報が寄せられることもあり、治安の改善に効果が出ている。
サンパウロ州では10万人当たりの殺人件数が1999年に35件だったが、経済成長も追い風になり、2011年には10件に減少したという。
ブラジルの交番制度はサンパウロ州警察が1997年に導入を決め、JICAの協力で広がった。2011年に日本の支援はいったん終了したが、ブラジル側の要請で今回、再開することになった。
サンパウロ州の警察幹部は「日本の交番制度は歴史があり、成熟している」と高く評価する一方で「ブラジルの現状に合わせて運用方法を変えていく必要がある」とも指摘。「時間はかかるが、将来的には全国に定着すると確信している」と話した。(共同/SANKEI EXPRESS)