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【ブラジルW杯】大雨ずぶ濡れ 観客「大移動」 W杯未完成会場、テスト戦で問題続々

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【ブラジルW杯】大雨ずぶ濡れ 観客「大移動」 W杯未完成会場、テスト戦で問題続々

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サッカーW杯ブラジル大会_日本の試合会場【1次リーグ】=2014年  サッカーのワールドカップ(W杯)ブラジル大会開幕まであと5月25日となった(5月)18日、開幕戦が行われる予定ながら、いまだに完成していないサンパウロのサンパウロ・アリーナ(通称イタケロン)で、テストマッチ(リハーサル)を兼ねた初の公式戦が行われた。工事業者と大会組織委員会はすでに屋根と備えつけ道路の完成は諦め、工事再開は大会終了後に行うとしているが、この日は試合途中から大雨となり、図らずも観客はずぶ濡れになりながら、大会運営の心もとなさを痛感させられた。通信事情やセキュリティーの問題も指摘されており、「最後の1分まで多くの問題を抱えたまま」(大会関係者)開幕を迎えるのは必至だ。

 サンパウロ・アリーナでは6月12日のブラジル対クロアチアのW杯開幕戦を含め、大会期間中(7月13日まで)に全6試合が行われることになっている。(5月)18日はアリーナを大会後にホーム競技場として使用するコリンチャンスがフィゲイレンセを迎え、ブラジル全国選手権の試合が行われた。収容人員は6万8000人だが、この日は4万枚のチケットが売りに出され、約3万6000人が観戦に訪れた。

 フランス通信(AFP)によると、前半戦の終盤から大雨が降り出し、屋根が完成していないために雨に打たれて濡れた観客たちは、未完成の屋根に覆われた場所を求めて席を大挙移動した。屋根に覆われていないのはピッチに近い“特等席”で、AFPの記者は「入場料が高い席ほど皮肉にも本番でも雨に濡れる可能性が高い。傘は必携」と呼び掛けている。試合はコリンチャンスが格下のフィゲイレンセに0-1で敗れ、サポーターにとってはまさに弱り目に祟り目だった。

 携帯回線トラブルも

 また、試合途中から試合後にかけては携帯電話の3G回線がパンク状態で使用不能となるトラブルに見舞われたという。さらに、アリーナ内のエレベーターが4台中2台しか稼働していない個所もあり、入場口には長蛇の列が作られた。

 アリーナ周辺はクレーン車や足場が散見され、建設現場さながらの様子で、試合後に観客が自分の車を探すのに十分な明かりもなく、携帯電話を懐中電灯のように照らしていたという。

 国際サッカー連盟(FIFA)が求めている金属探知機も設置されておらず、安全のために競技場周辺に設けるセキュリティーエリアも基準より狭い。

 それでも地元組織委のトラジ最高経営責任者(CEO)は(5月)18日の記者会見で「警備や観客の誘導など12項目で運営のチェックが行われた。本番より少ない人数とはいえ、全ての分野をテストできた。開幕までのベースはできたと思っている」と評価した。

 最後の一瞬まで工事

 サンパウロ・アリーナでは昨年(2013年)11月にクレーンが倒れて作業員2人が死亡し、今年3月にも転落事故で1人が死亡した(全12会場での建設工事中の死者は8人)。昨年(2013年)12月の完成予定は大幅に遅れ、本来FIFAの基準では3回は行わなくてはならないテストマッチも1回にとどまる見込みだ。建設責任者のアンドレス・サンチェス氏は「もし私がFIFAの人間だったら、ブラジルをW杯開催地に選んだことを本当に後悔したと思う。突貫工事は最後の一瞬まで続く」と話している。

 全12競技場中、完成していないのはサンパウロ・アリーナを含めて2つで、日本が6月24日にグループリーグ最終戦(コロンビア戦)を行うクイアバのパンタナル・アリーナの工事も遅れている。(SANKEI EXPRESS

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