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カタール選定は「間違いだった」とFIFA会長 22年W杯

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カタール選定は「間違いだった」とFIFA会長 22年W杯

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カタール・首都ドーハ  競技場建設の遅れ、治安の悪化、反対デモ…などによってサッカー・ワールドカップ(W杯)ブラジル大会(6月12日~7月13日)の穏便な開催が危ぶまれている中、国際サッカー連盟(FIFA)のゼップ・ブラッター会長(78)がテレビ局のインタビューで、2022年ワールドカップ(W杯)カタール大会の開催地決定について「間違いだった」と言い切る発言を行い、波紋を広げている。

 カタールでの開催時期についても、慣例を破って酷暑の夏から冬に移行することは「確実だ」と言明。従来の表現からさらに踏み込んだ。一連の発言の背景には、5期目を目指す会長選に向けた戦略があるとみられている。

 ブラッター氏は5月15日、FIFAの本部(チューリッヒ)があり、自身の地元でもあるスイスの公共放送局RTSのインタビューを受けた。この中でブラッター氏は、10年12月のFIFA理事会で22年のW杯開催国を中東のカタールに決めたことについて「決定は間違いだった。報告書にはカタールの夏は暑すぎるとあったが、理事会で多くの賛成を集めてカタールに決まってしまった。人生には誤りはつきものだが、決定にはフランスの政治的圧力があった」などと語った。

 ただ一方で、「選定が間違いだったとしても、今さら開催地が変更になるわけではないが…」とも補足した。

 また、欧州の主要国内リーグが「8月開幕5月閉幕」の日程で組まれているため、W杯は6月から7月にかけて行われるのが不文律になっているが、ブラッター氏は「(平均最高気温が42度前後の)カタールの夏の暑さではプレーは無理」と語り、冬開催に移行される可能性について「多分そうなる。いや、多分以上、確実だ」と力説した。

 もとは米国開催支持

 インタビューの内容は、16日の欧州主要紙誌でも報じられ、「なぜ今、この問題を蒸し返すのか?」「会長選をにらんでの発言か?」などとさまざまな臆測を呼んでいる。

 ブラッター氏は元々、カタール開催には反対し、米国開催を支持していたとされる。そんな中、10年12月の理事会でカタールの多数派工作に力を貸したのが、“ナポレオン”の異名を持つ元フランス代表主将で、欧州サッカー連盟(UEFA)会長のミシェル・プラティニ氏(58)だった。

 プラティニ氏は10年10月、当時のニコラ・サルコジ仏大統領(59)とカタール皇太子との会談に同席したり、息子をカタール関連企業に就職させたりと、カタールとの関係が深い。

 そのプラティニ氏が、ポスト・ブラッターの最有力候補なのは、関係者の衆目が一致するところだ。ブラッター氏は15日インタビューで「私の仕事はまだ終わっていないので、5期目も続投したい」と言明している。

 これまでの会長選はブラッター氏にとって、ほとんど信認投票に等しかったが、プラティニ氏が立候補することになれば、続投に黄色信号が灯る。競技者としてのキャリアがないブラッター氏に対して、プラティニ氏は往年の大スターでカリスマ性もあるからだ。

 当のプラティニ氏は、W杯ブラジル大会の終了後にFIFA会長選への対応を明らかにするとしている。

 英紙ガーディアンは、ブラッター氏の「カタールは間違い」発言について、「再びこの問題に火を着け、さらには投票時の不正疑惑追及さえも蒸し返させ、プラティニ氏の立候補を封じる選挙戦略だとしても不思議ではない」と評している。(SANKEI EXPRESS

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