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ピッチ上がらず 嘆く「王様」 ブラジルW杯まで1カ月半 準備遅れ深刻

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ピッチ上がらず 嘆く「王様」 ブラジルW杯まで1カ月半 準備遅れ深刻

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2014ブラジルW杯サッカー、日本の1次リーグ日程<確定>=緑色の数字は最新FIFAランキング、日本は48位(2013年12月7日現在)。開始時間は予定  サッカー・ワールドカップ(W杯)ブラジル大会(6月12日~7月13日)の開幕まであと1カ月半。ブラジルでは試合会場の整備が追い込みを迎えているが、12会場のうち4会場がまだ完成していない。周辺の道路や空港の整備も遅れ、関係者は気をもむ毎日だ。さらに、国民の「W杯開催支持率」も開幕が迫るにつれて下がっており、昨年のコンフェデ杯開催時に起こった反対デモは今も続き、当局は暴徒化防止に必死になっている。

 工事中にテスト試合

 スタジアムがいまだに完成していないのは、サンパウロ、ポルトアレグレ、クリチバ、そして日本代表が6月24日(日本時間25日)にグループリーグ最終戦(コロンビア戦)を行うクイアバの4会場。このうち、開幕試合が行われるサンパウロのイタケロンスタジアムと、クリチバのバイシャダ・アリーナの工事の遅れが特に深刻で、完成は開幕直前になるとみられている。道路など周辺インフラの整備が間に合うのはもはや不可能な状態で、競技場だけでも完成させようと、工事中であるにもかかわらず観客を入れてテスト試合を行うなど、必死の並行準備が進められている。

 「スタジアムは間もなく完成する。最終段階の客席を設置している」

 クリチバ市臨時W杯局のレジナルド・コルディド局長はそう話した。当初は昨年3月には完成する予定だったが、資金難に加え作業員らが再三ストライキに入り、工事は難航した。

 「本当にできるのか。無理ならはずす」。国際サッカー連盟(FIFA)のジェローム・バルク事務局長は今年1月、クリチバのバイシャダ・アリーナを視察し、工事の進捗(しんちょく)の遅れにいらだちをぶつけた。コルディド局長は「最後は市が関与し、しっかりと完成させる」と言い聞かせるように話している。

 「開催支持率」50%割れ

 サンパウロのイタケロンスタジアム周辺では、バスターミナルなどの工事が続くが、完成間近というふうでもない。ブラジルではW杯に合わせて、バスや地下鉄、高速道路など約70の整備が計画されたが、そのうち約2割が中止となり、約1割はW杯以降も継続工事になった。

 AP通信によると、W杯で利用される13空港のうち、改修・改善が終了したのは2つだけ。W杯大使で「サッカーの王様」と称される元ブラジル代表のペレ氏(73)は、「(開催決定から)7年も時間があったのに、当局はファンやチームが到着する空港の工事をいまだに終えていない」と嘆いたという。

 今月(4月)8日に公表された最新の世論調査では、W杯開催に「賛成」が48%、「反対」が41%となり、初めて賛成が50%を割り込み、関係者に衝撃を与えた。国民の大半が無類のサッカー好きという国柄だが、多くが経済的苦境にあり、豪華なスタジアムをいくつも建てるより、公共サービスの整備が先だろうというのが、反対派の言い分だ。

 反対デモは1000人規模で散発的に各地で起きている。このままW杯本番に突入し、ブラジル代表が優勝できなかった場合は、デモの暴徒化も懸念されている。工事完了以上に、図らずも代表の優勝が至上命令になった。(SANKEI EXPRESS

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