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初戦地 警官ストで殺人多発 ブラジルW杯反対デモは50都市

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初戦地 警官ストで殺人多発 ブラジルW杯反対デモは50都市

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 ブラジルで、6月12日に開幕するサッカー・ワールドカップ(W杯)に反対するデモが15日、最大都市サンパウロなど各地で行われた。主催者側によると、ストライキ中の労働者らも待遇改善を求めてデモに参加し、試合が行われる12都市を含む全国約50都市で実施。日本代表が6月14日(日本時間15日)に初戦でコートジボワールと戦うレシフェでは警察官のストライキも重なり、治安が悪化して殺人事件が多発するなど、安全への懸念が広がっている。ブラジル政府は軍部隊をレシフェに派遣して事態の沈静化を図ったが、大会中にも各地の警官がストを行う可能性があり、順調な大会運営が危ぶまれている。

 ■3日間で27人死亡

 ブラジル北東部のレシフェは、運河や橋が多い水の都で「ブラジルのベニス」の異名を持つが、治安の悪いブラジルの中でも特に殺人事件発生率が高いことでも知られる。デモに先んじて13日から、警察官が待遇改善を求めて3日間のストライキを行った。このため、商店での略奪や殺人事件が多発。市民は自警団を出動させ、民間の警備会社にもパトロールを依頼したが、地元メディアによると、13~15日に少なくとも27人が殺人事件で死亡したという。警察官のストは、4月15~17日にもW杯開催都市の一つ、サルバドルで起き、この時も3日間で39件の殺人事件が起きた。

 ■サンパウロで1万人超

 「スタジアムの建設に投じる費用があるなら、労働環境の改善や公共サービスの向上に使え」。15日のデモでは、サンパウロで1万人以上、他の都市でも数百人から数千人が参加。民間の労働者や教師、警察官ら公務員がW杯の開催に反対して気勢を上げた。サンパウロでは、デモ隊が高速道路でタイヤを燃やして道路を封鎖したほか、夜には中心部の大通りでごみなどを燃やしたりもした。

 最初の反対デモは、昨年6月のサッカーコンフェデレーションズカップ(コンフェデ杯)が開催される前、バス料金の値上げを発端にサンパウロで発生。その後、全国100都市以上で参加者100万人以上に発展した。最近も散発的に小規模なデモは起きていたが、今回ほどの大規模デモはコンフェデ杯後初めてだ。

 ■ジーコ氏「悲しいこと」

 W杯1次リーグの日本戦はレシフェ以外では、19日(日本時間20日)にナタルで、24日(日本時間25日)にクイアバで予定され、日本の外務省は1試合ごとに日本人5000人以上が観戦すると見込んでいる。外務省は渡航する日本人サポーターに、デモには近づかない▽巻き込まれた場合は速やかに退避行動を取る▽最新情報を報道や外務省のホームページなどで入手する-ことを勧めている。

 選手としてW杯に3回出場したセレソン(ブラジル代表の愛称)の元大スターで日本代表監督も務めたジーコ氏(61)はメディアに「ブラジルでこのような光景を目にするとは夢想だにしなかった。国を挙げて代表を後押しできないとしたら、悲しいことだ」と寄稿。ジルマ・ルセフ大統領(66)も15日、「ブラジルの魂である、おもてなしの心で訪問者を迎えられるように平静を取り戻そう」と国民に呼び掛けた。

 しかし、デモ主催者側は23日にも全国規模でW杯反対デモの実施を呼び掛けており、開幕が近づく中、混乱が拡大する恐れもある。

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