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“ゲーム同性婚”任天堂は対応苦慮 米男性要求に反論「現実を反映せず」

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“ゲーム同性婚”任天堂は対応苦慮 米男性要求に反論「現実を反映せず」

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 任天堂の人気ゲームに登場する「アバター(自分の分身)」について、米国の同性愛者の男性が、バーチャルな世界でも「同性婚を認めてほしい」と交流サイト(SNS)を通じて訴えている。AP通信が8日までに伝えた。米国任天堂は「ゲームに社会的な問題は持ち込まない」とし、要望に応じない方針を示している。ただ、世界各国で同性婚が合法化され、「性的な多様性」に配慮する動きが広がるなか、ゲーム内でも多くの同性愛のキャラクターが登場しており、任天堂としても対応に苦慮しそうだ。

 「現実反映せず」反論

 「自分の婚約者の分身とゲームの中でも結婚したいのに、それができない。私がとれる選択肢は自分の分身か、婚約者の分身の性別を女性に変更するか、結婚という選択肢を諦めるしかない」

 フェイスブックとツイッターにアップした自作映像で、こう訴えているのは、米アリゾナ州に住むタイ・マリーニさん(23)。

 このゲームは日本で昨年(2013年)4月に発売された「トモダチコレクション新生活」で、12月までに183万個が売れるヒットを記録した。欧米では「Tomodachi Life(トモダチ ライフ)」のタイトルで6月に発売される。

 「Mii(ミー)」と呼ばれるアバター(分身)を作成し、架空の島で参加者のアバターと交流するゲーム。一緒に買い物をしたり遊園地で遊んだりして仲良くなり、恋愛や結婚に発展し、子供を産んで育てることもできる。ただ、恋愛や結婚ができるのは、異性のカップルだけという設定だ。

 マリーニさんは発売を前に、任天堂に設定の変更を要求。「ゲームの分身には実生活が反映されているのが問題だ。分身に名前や人格、声を与えることができるのに、恋に落ちることができない」と訴えた。

 これに対し、米国任天堂は公式声明で「このゲームはいかなる社会的主張も意図しておらず、ゲーム内の交流は陽気な別世界でのもので、現実を反映してはいない」と反論した。

 可能なRPGも

 ただ、世界各国で同性婚を法的に認める動きが広がるなか、欧米では最近、同性婚を容認する設定や同性愛のキャラクターが登場するゲームも増えている。人気シリーズの「ザ・シムズ」や「ザ・エルダー・スクロール」といったロールプレーイング・ゲーム(RPG)では、プレーヤーが同性愛のキャラクターを設定し結婚したり子供を持ったりできる。サバイバル・アクション「ザ・ラスト・オブ・アス」などには、同性愛や両性愛者のキャラが登場する。

 マリーニさんのSNSでも、「任天堂の決定は、同性愛者と関連を持つことを嫌っているか、非常に保守的な考えかのどちらかであることを示している」「欧米では重大な過失となって企業イメージの悪化を招くだろう」など、任天堂に批判的なコメントが寄せられている。

 多様な「性的マイノリティー(少数派)」への理解が世界的に進むなか、グローバル企業は今後、こうした問題への対応を迫られるケースが増えそうだ。

 海外での売上高比率が約7割を占める任天堂も、設定変更には応じない方針を示す一方で、こうコメントした。

 「われわれはすべての反応を思慮深く注視し、消費者をより理解する機会にしたい」(SANKEI EXPRESS

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