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他者への寛容さと、生き生きとした自由な精神が大切 映画「アデル、ブルーは熱い色」 アブデラティフ・ケシシュ監督に聞く

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他者への寛容さと、生き生きとした自由な精神が大切 映画「アデル、ブルーは熱い色」 アブデラティフ・ケシシュ監督に聞く

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映画「アデル、ブルーは熱い色」のアブデラティフ・ケシシュ監督=2013年10月25日、東京都港区(大山実撮影)  「アデル、ブルーは熱い色」のアブデラティフ・ケシシュ監督(53)はSANKEI EXPRESSの取材に応じ、「アデルとエマのように社会階層が違う者同士の恋愛は極めて難しい」との考えを強調した。

 チュニジア系フランス人として貧しい生活を送った幼少時代の体験を踏まえ、「これまで手がけたどの作品でも、違う社会階層との間に立ちはだかる見えない壁を描いてきたし、違う階層への脱出方法を探してきたが、答えを見つけられないままでした」と振り返った。本作の撮影を通してだんだんと確信を強めたのは、「自分が育った社会階層など抜け出すことはできない」という現実的な捉え方だった。

 とはいうものの、アデルとエマの悲恋を通して、ケシシュ監督は、大切にすべきことを再確認したそうだ。ケシシュ監督が挙げたのは「他者への寛容さと、生き生きとした自由な精神」。「いつも他人を思い、自分を投げ出せるアデルは、勇敢であり、私の中では理想的な女性像ですね。エマは世界へ向けて目を向け、冒険に果敢に挑むタイプ。やはり困難を乗り越える勇気を持っています」

 同性愛者同士の恋愛を描いた本作の上映を忌避する各国の動きについては一笑に付した。「検閲とは、日々新しいことが起きる社会に対して随分と遅れた行為と言わざるを得ません。大体、宗教的な戒律の厳しいアラブ諸国の若者は、すでにいろんな形の性に関する行動を経験していますよ。映画を見たから気まずい思いをしたなど誰も思っていないはずです」(文:高橋天地(たかくに)、撮影:大山実/SANKEI EXPRESS

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