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同性婚応援曲 グラミーの歴史変えた 男性デュオに最優秀新人賞

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同性婚応援曲 グラミーの歴史変えた 男性デュオに最優秀新人賞

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 米音楽界最高の栄誉、第56回グラミー賞の発表・授賞式が1月26日、ロサンゼルスのステイプルズ・センターで開かれた。今回、最も注目されたのが同性婚を応援するラップ曲「セイム・ラブ(同じ愛)」で最優秀新人賞を獲得した米シアトル出身の白人男性デュオ、マックルモア&ライアン・ルイスだ。同性愛を徹底的に嫌悪する音楽ジャンルで知られるラップのリズムに乗せ、同性愛への偏見や差別を糾弾する楽曲だが、彼らのパフォーマンスでは客席に同性婚カップルを含む33組が登場、集団結婚式を挙げるなど、グラミー賞の歴史に残る授賞式が展開された。

 最高裁判決で注目

 「小学校3年生の時、自分は同性愛者(ゲイ)だと思った/絵が得意で、叔父もゲイだったから/そのことを母親に言ったら涙が頬を伝った…」

 こんな歌い出しで始まる前代未聞のラップ曲を歌う彼らは、ラップ歌手のマックルモア(30)と音楽プロデューサーのライアン・ルイス(25)のコンビ。

 「セイム・ラブ」は2012年10月発売のデビューアルバム「ザ・ハイスト」に先駆け、7月に発売された。約5カ月前の2月、シアトルがあるワシントン州で同性婚合法化法案が可決されたことを機に、書き上げた。

 しかし当初は、約2カ月後に発売されたリサイクル店が題材の楽曲「スリフト・ショップ」が全米チャートで1位に。勢いに乗りアルバムも全米2位、計100万枚を売り、「セイム・ラブ」は忘れられていた。

 ところが昨年(2013年)6月、米連邦最高裁判所が同性婚を事実上認める判決を下して以降、米国内での同性婚支持の高まりとともに「セイム・ラブ」が売れ始め、豪州とニュージーランドで1位、米国でも11位を記録した。

 「ラップやヒップホップ文化は黒人への弾圧から生まれた/なのに奴らは同性愛を受け入れず/互いに罵(ののし)り合っている」「同性婚合法化ですべてが解決するわけじゃない/でもここから出発すればいい/どんな法律も人を変えられない/人は自分自身で変わるんだ」といった優れた歌詞が評価され、グラミー賞の候補となった。

 授賞式に33カップル

 AP通信などによると、授賞式でマックルモアは「ワオ! 今、グラミーのステージにいるぜ。このアルバムは大手じゃなく俺たちの個人レーベルから出したんだ。すべての人々の支援に感謝するぜ」と胸を張った。

 続いて「この楽曲は一部の人のためではなく、われわれみんなに向けたラブソングです」との女性歌手、クイーン・ラティファ(43)の紹介でパフォーマンスがスタート。途中、客席の33組の列にライトが当たり、彼らが結婚指輪の交換を始めると大歓声が会場を覆った。

 その直後、ステージに同性婚を支援するマドンナ(55)が登場、彼らの楽曲に合わせて自身のヒット曲「オープン・ユア・ハート」(1986年)で“心を開いて”と熱唱。ラティファが立会人の資格を持つことから、公式な結婚が認められた。

 「われわれはみな同じだ/恐怖を脱ぎ捨てろ/その下には同じ愛がある/立ち上がる時が来た」と歌う彼らがグラミー賞の歴史を変えた瞬間だった。(SANKEI EXPRESS

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