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「アナと雪の女王」同性愛テーマと解釈も… 劇中歌でカミングアウト?

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「アナと雪の女王」同性愛テーマと解釈も… 劇中歌でカミングアウト?

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吹き替えを担当した松たか子(左)と神田沙也加=2014年3月20日、東京都中央区(村上純平さん撮影)  ディズニーのアニメ映画「アナと雪の女王」が全世界で空前の大ヒットを記録している。米国など欧米主要国で昨年(2013年)11月、日本では3月14日に公開されたが、米映画興行収入分析サイト、ボックスオフィスモジョによると、全世界で約10億9700万ドル(約1130億円)を稼ぎ、ハリウッド映画の歴代興行収入ランキングで9位とベスト10入りした。欧米では多くの評論家がディズニーアニメの最高傑作と絶賛する一方、ディズニー初の同性愛を示唆する内容であるとの意見も多く、人気や注目度にますます拍車がかかっている。

 「ライオン・キング」抜く

 「アナと雪の女王」はアンデルセン童話から着想を得たミュージカルアニメで、製作費は約1億5000万ドル(約150億円)。触れるものすべてを凍らせてしまう力を持ったため、孤独な生き方を強いられる王家の長女エルサと、そんな姉を救おうと冒険に出る妹アナの物語を感動的に描く。

 物語に加え、音楽が素晴らしいこともあり、本国である米国では公開直後から人気が大爆発。公開からわずか47日目でディズニー・アニメの金字塔「ライオン・キング」(1994年)の公開時の興収を抜き、歴代1位に。さきのアカデミー賞でも長編アニメ映画賞を受賞した。

 また、米国外でも人気はすさまじく、全世界での興収も「ライオン・キング」の9億8700万ドル(約1000億円)を抜き、歴代1位。日本では今月(4月)6日までに600万人を動員、興収75億円を突破し、100億円を超えることが確実視されている。劇中歌を収めたサウンドトラック盤も米国では1月、ビヨンセ(32)の新作を蹴落としヒットチャートの1位に輝いた。

 多様な愛の形

 「ここ10年、想像力の凍結に悩んできたディズニーは、この作品で本格的な雪解けを迎えた」(米紙ロサンゼルス・タイムズ)と絶賛される本作だが、大ヒットの裏に“同性愛”というテーマが横たわっているとの指摘もある。

 本作は、ディズニー史上初めてヒロインが2人登場するが、孤独なエルサは男性からの求婚を求めていないというディズニーアニメとしては極めて特異なキャラクターであるうえ、本作中、最も有名な劇中歌でエルサが歌う「レット・イット・ゴー」は、ありのままの自分でいい、と自身を肯定する内容で、同性愛をカミングアウト(公言)している歌とみなす人々も少なくないという。

 加えて、物語全体に男女間に限定しない多様な愛の形があってもよいというメッセージが込められており、同性婚を合法化する国々が増える昨今の世相を反映しているといえる。

 「邪悪」「キリスト教的」

 そのためか、3月12日付の米業界誌ハリウッド・リポーターや英紙ガーディアン(いずれも電子版)などによると、米コロラド州のケビン・スワンソン牧師が自身のラジオ番組で「5歳の子供を同性愛に導く非常に邪悪な映画である」などと非難する騒ぎがあった。

 一方で、米テキサス州のヒューストン・バプティスト大学で歴史学を教えるコリン・ガバリーノ准教授は1月25日付のガーディアン紙に対し「この作品は自己犠牲の尊さを説く非常にキリスト教的な内容である」と説明した。同性愛からキリスト教的自己犠牲まで、さまざまな解釈ができることが、大ヒットの一因のようだ。

 ≪主題歌トップ3独占≫

 日本語吹き替えはエルサを松たか子、アナを神田沙也加が担当。公開後の「レコチョク」など楽曲配信の週間ランキングは主題歌の日本語版、英語版、エンドソング版がトップ3を占める事態に。アルバムCDは英語版がオリコンランキングで2週連続トップ5入り、日本語版を含むCDも5月3日に発売される。ノベライズ本はオリコンの最新集計で本の総合部門8位、児童書部門1位に浮上した。(SANKEI EXPRESS

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