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英国初の宇宙港、2019年めどに開港 科学担当相「野望を実現させる」

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英国初の宇宙港、2019年めどに開港 科学担当相「野望を実現させる」

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英国・ウェールズ  欧米で民間企業による宇宙旅行が現実味を帯びるなか、英国政府は4月1日までに、国内初の商業宇宙港を2019年をめどに開港させる考えを明かした。

 有人宇宙船「スカイロン」を開発中の英宇宙企業リアクション・エンジンズの母港となるほか、英富豪のリチャード・ブランソン氏(63)が米国で設立した宇宙旅行会社で、年内に世界初の一般人向け宇宙旅行を行う予定のヴァージン・ギャラクティックにも利用してもらう考えだ。

 英国経済の低迷が続く中、宇宙産業は好調に業績を伸ばしており、英政府は宇宙港の建設を機に国を牽引(けんいん)する基幹産業に育てたいと意気込んでいる。

 西部ウェールズなど候補

 「英国の宇宙産業はすでに9万5000人のフルタイム労働力を支え、経済規模は年91億ポンド(約1兆5000億円)にもなる」

 デビッド・ウィレッツ科学担当相(58)は4月29日、こう前置きし、「宇宙産業は英国経済の推進力になりうる。そのためには、商業宇宙飛行のための宇宙港を英国に作るという野望を実現させなければならない」と強調し、英国初の宇宙港開港に意欲を見せた。

 英メディアによると、宇宙港は安全のため海沿いの立地となる見通しで、現在、候補地として西部ウェールズ内やスコットランドのロジーマス空軍基地が有力視されている。

 ウィレッツ担当相は「辺境部で候補地を探し始めているが、民間航空機で混雑しない空域が必要だ。小規模の空港や、あまり使われていなかったり、未使用となっている英空軍の空港も候補に入る」と説明した。

 30年6兆9000億円規模に

 英国には現在、無人の宇宙ロケットの発射施設もなく、英国宇宙局(UKSA)も米航空宇宙局(NASA)のような華々しい歴史を持っていない。

 しかし1998年に建設が始まった国際宇宙ステーション(ISS)の運用協力を機に、人工衛星や宇宙ロボット工学といった宇宙産業が急速に発展。英国の宇宙産業は年平均7.5%の成長を続け、その経済規模は2020年までに190億ポンド(約3兆2800億円)に拡大する見込みだ。

 その勢いを加速させるため、英政府は昨年(2013年)、官民一体で宇宙成長戦略を策定。宇宙産業の経済規模を30年に現在の約4倍の400億ポンド(約6兆9000億円)に拡大させることを決めた。宇宙港開港はその象徴だ。

 ヴァージン・ギャラクティックはすでに11年10月、米南西部のニューメキシコ州に世界初の商業宇宙港「スペースポートアメリカ」を開港。スウェーデンの宇宙企業スペースポート・スウェーデンも最北のキルナ市に15年をめどに宇宙港を開港させる計画を進めている。

 また今年4月には、同じく民間宇宙旅行を計画する米スペースXの無人宇宙船で、ISSに物資を運ぶドラゴン号が(4月)18日発射に成功。(4月)20日にISSとのドッキングに成功した。宇宙へ飛び出す人類の夢は着実に現実化している。

 UKSAの最高経営責任者(CEO)、デビッド・パーカー博士は英BBC放送などに「英経済を成長させるため、官民が協力して宇宙分野の可能性を最大限に活用し、より効率的な公的サービスを提供するとともに、次世代を感激させるような宇宙産業を育て上げたい」と述べ、宇宙港の開港に期待を寄せている。(SANKEI EXPRESS

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