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自然界と一体となり、通じ合う存在に ドキュメンタリー映画「ネイチャー」 パトリック・モリス監督インタビュー

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自然界と一体となり、通じ合う存在に ドキュメンタリー映画「ネイチャー」 パトリック・モリス監督インタビュー

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「臨場感を出すために、動物撮影では動物の目の高さに設定した」と話すパトリック・モリス監督=2014年3月28日、東京都千代田区(野村成次撮影)  大自然に生きる野生生物を題材にしたドキュメンタリー作品の第一人者、パトリック・モリス監督(48)が、大好きなアフリカを舞台に手がけた作品は、新作「ネイチャー」で10作目となった。ケニア、エチオピア、ナミビアなど13カ国で573日をかけて撮影した膨大な映像素材を根気よく編集し、丁寧に作品へと紡いでいった渾身(こんしん)の映像からは、自然に寄せる深い愛情と畏怖がおのずとにじみ出てきて、見る者を厳粛な気持ちにさせてくれる。

 「今まで手がけた10本の中で一番野心的な仕上がりとなりましたよ」とモリス監督。共同監督のニール・ナイチンゲールとコンビを組み、「ディープ・ブルー」「アース」を製作した「BBC EARTH」のスタッフを率いて3D映像で撮り下ろした。アフリカ中央部・ヴィルンガ山地に広がる謎めいた熱帯雨林の森、ザンベジ川の流れに乗って毎分約5億リットルの水がジェットコースターのように落下するビクトリアの滝の荘厳な風景は、幻想的で、夢を見ているかのような感覚にとらわれる。100万羽を超えるフラミンゴの群れ、断崖を走り回るケラダヒヒの家族、愚鈍なヌーに襲いかかる体長7メートル、体重1.5トンはあろうナイルワニの姿は迫力満点だ。

 3Dで一緒にいるような感覚に

 モリス監督が3Dの撮影手法を選んだのは、「観客に対し、実際に映像の世界に一緒にいるような感覚を経験をしてもらう最善の方法」と考えたからで、さらにその目指す先には「観客が個人的な体験をした気持ちとなり、さらに自然界と一体となり、自然界と通じ合う存在にまでなってほしい」との願いがあった。だからこそモリス監督は、これまで手がけた作品でも臨場感を大切なものとしてきたし、例えば「カメラワークは常にめまぐるしく動かすようにするとか、頭を悩ませてきたわけです」と、思いだしたかのように言葉を継いだ。

 原題を「Enchanted Kingdom 3D」と命名したのもうなずける。「地球や自然界に備わっている不思議な魔法に目を向けるきっかけになってほしい。冒険映画にしたかったんですよ」。そんなモリス監督の思いがあればこそ、重さ計2.4トンの3Dカメラ機材を126人のスタッフとともに標高5199メートル、氷点下のケニア山の山頂付近まで運ぶことなど“朝飯前”なのだ。5月2日、全国公開。(高橋天地(たかくに)/SANKEI EXPRESS

 ■Patrick Morris 1966年、英国生まれ。野生生物映画監督、自然ドキュメンタリー作家。「Life」(製作)、「Yellowstone」(クリエイティブ・コンサルタント)でエミー賞や英国アカデミー賞の撮影監督賞を受賞。BBC、ナショナルジオグラフィック、ディスカバリーチャンネルなどの放送局で監督、製作、脚本を担当。アフリカ生活は7年にわたる。

 ※映画紹介写真にアプリ【かざすンAR】をインストールしたスマホをかざすと、関連する動画 を視聴できます(本日の内容は6日間有効です<2014年5月7日まで>)。アプリは「App Store」 「Google Playストア」からダウンロードできます(無料)。サポートサイトはhttp://sankei.jp/cl/KazasunAR

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