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仕事は楽しく 日常はナチュラルに 「YUKI TORII STYLE BOOK」鳥居ユキさん

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仕事は楽しく 日常はナチュラルに 「YUKI TORII STYLE BOOK」鳥居ユキさん

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新著について語るはデザイナーの鳥居ユキさん。第一線を走り続けてきた自信がのぞく=2014年2月18日、東京都港区(瀧誠四郎撮影)  【本の話をしよう】

 幅広い女性から支持を集めるブランド「ユキトリイ」で知られるデザイナー、鳥居ユキさん(71)が、『YUKI TORII STYLE BOOK』を刊行した。仕事から旅、暮らしまで。自身の全てを詰め込んだ。

 1962年、弱冠19歳でデビュー。年に2回、一度も休むことなくコレクションを発表し続け、2011年には100回を達成した。テレビドラマや舞台の衣装デザインを手がけるなど、日本のカルチャーシーンで大きな役割を果たしてきた。

 自分が選んだ物は捨てない

 半世紀以上にわたってファッションの最前線を走り続ける。その圧倒的なエネルギーの源に迫るのが、今回のスタイルブック。豊富な大判の写真に、自身の人生観を表現したせりふをちりばめている。

 5つのテーマで構成されており、最初のパートは「私のワーキングスタイル」。仕事場や緊張感あふれるコレクションの舞台裏をのぞくことができる。「『仕事』というテーマはやはり一番最初に持って来たかった。私の人生になくてはならない要素だから」と話す通り、仕事への情熱は並々ならない。「風邪を引いても、仕事場に来ると治っちゃうの」と笑う。

 「私の旅スタイル」では、「第二の故郷」と呼ぶパリを訪れた。お気に入りのカフェでくつろいだり、遊園地のメリーゴーラウンドに乗ったり。リラックスした雰囲気が漂う。「パリは一番自分が自然でいられる場所。ニューヨークほどエネルギッシュでなく、ローマほど太陽が照りつけるわけではなく…落ち着いた雰囲気が合うのかしら」

 さらに、軽井沢の別荘での「私のリラックススタイル」、緑あふれる都内の自宅の様子を紹介した「私のライフスタイル」、フォーマルな装いの「お出かけスタイル」と続く。

 今回の著書のための撮り下ろしに加え、長年自身で撮りためてきた写真もふんだんに掲載した。作られたものではなく、普段の生活が自然に切り取られている。「今回の本で大事にしたかったのは、『ナチュラルである』ということ。別世界に行くのではなくて、あくまでも日常を。手に取ってくれた読者の方が、本を読んで自然に気持ちよくなれるようにと心がけました」

 〈私は物を捨てないの。(中略)「自分が選んだもの」だからいつかどこかで必ず生きる時が来る。〉など、ハッとさせられる言葉が盛りだくさん。

 シーンに合わせた着こなしを学べるのはもちろん、香水瓶やホテルのせっけん箱など、「好きだから」というシンプルな理由で集められた小物類も、乙女心をときめかせてくれる。

 70歳を超えた今も、休みはほとんどない。それでも「仕事は楽しい」と言い切り、お肌はつやつや。その秘密は、本書の冒頭にあるこの言葉にあるのかもしれない。〈前だけを向いて 半年先一年先を見据えて 仕事してきた。 明日どうなるかわからないから いつも今日が大事なの。〉(文:塩塚夢/撮影:瀧誠四郎/SANKEI EXPRESS (動画))

 ■とりい・ゆき 1943年、東京生まれ。61年に文化学院を卒業、翌年デザイナーデビュー。75年、パリコレクションに初参加。テレビドラマ、演劇、映画などの衣装も手がける。2011年、デザイナー生活50周年、コレクション100回を迎える。

「YUKI TORII STYLE BOOK」(鳥居ユキ著/朝日新聞出版、1890円)

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