SankeiBiz for mobile

ジャンルを問わず遊んでみる 女優 田中麗奈さんインタビュー

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSのエンタメ

ジャンルを問わず遊んでみる 女優 田中麗奈さんインタビュー

更新

女優、田中麗奈(れな)さん。[衣装協力]anySiS_by_KUMIKYOKU_SiS。ブラウス9345円、スカート9345円、ベルト4095円(大石一男さん撮影)  【私のおしゃれ学】

 4月6日から明治座の舞台に立つ。諸田玲子の小説を原作にした「きりきり舞い」という公演、舞台としては自身初となる時代劇に挑む。

 「舞台は生もので、間違えてもカットはかからず、1回立ったら最後まで走らなくてはいけない。恐怖ですよねえ」。過去に幾度か立った経験があっても緊張するという舞台。おまけに今までにはないコミカルな時代劇だが、「葛飾北斎とか浮世絵師や作家が出てくるのがすごく面白いと思いました。浮世絵とか見るのが大好きで、そういうところに関われるのがうれしかった」と引き受けた。

 演じるのは「東海道中膝栗毛」を書いた十返舎一九(じっぺんしゃいっく)の娘、舞。はやくお嫁に行きたいと願っていて、何人か相手も現れるが、偏屈な父親の一九に縁談は次々こわされる。加えて家には、一九の知り合いらしい謎の浪人や、葛飾北斎の娘で舞とは幼なじみのお栄が転がり込んできて、奇人ぶりを発揮し舞を“きりきり舞い”させる。

 そんな渦中でも、舞は自分を曲げずに貫き通す。「本当にエネルギッシュ。お父さんになに言われても言い返したりと、へこたれない強さが舞ちゃんにはあるんです。舞台では、そういう彼女の強さが出ればよいなあって思います」。そして「こうと決めたら突っ走っていくところとか、私に似ているかな」とも。

 5歳くらいの時に浮かんだ女優になりたいという夢を、成長しても夢に終わらせたくないとがんばった。高校生のときに出た映画「がんばっていきまっしょい」(1998年)で好演して数々の賞を獲得。「やっとスタートラインに立てたとは思いました」。けれどもそこからが大変だった。「芝居をどうやっていいか、どうそこに居たらいいのか分からなかった。その仕事をするという意識をつかめていないところがあったんでしょうね」

 アイドル的な人気に安住せず、映画やドラマ、舞台と場所を選ばずさまざまなタイプの作品に出ては、自分の限界を試し続けた。そんな経験を重ねて得たのは「悩んだり葛藤をしても、そんなふうに自分ががんばれる場所があるということ。これしかない、ここしかないんだと思えるようになりました」。女優しかない。そう覚悟して挑むようになった作品での演技が、次の作品へとつながり道を広げている。

 いつか喜劇に挑戦したいという思いも、今回の舞台で実現した。「19歳くらいのころ、柄本明(えもと・あきら)さんと中村勘三郎さんがやっていらっしゃった舞台を見に行ったんです。それが喜劇だったんですけど、本当に笑って泣けて感動して…。その時に勘三郎さんが、アドリブで私の名前を呼んでくれたんですよ! ものすごくうれしかった」

 観客を巻き込み楽しませる名優たちの演技に引き込まれ、いつか自分もそんな役を演じてみたいと思った。今回の舞台では、舞を中心に奇人たちが織りなす笑いあり、涙ありの物語を、加藤雅也や吉沢悠(よしざわ・ひさし)、板尾創路(いたお・いつじ)、山崎(やまさき)静代、篠井(ささい)英介らくせ者ぞろいの共演者たちと繰り広げる。

 「皆さんすごく個性が強くて、それが奇人を演じられるということで、絶対に盛り上がる舞台になるに違いないと思ってます」。そんな中にあってひとり真っ当な街娘の役。かすんでしまいかねない心配も浮かぶが、そこは「シンプルにストレートに演じること。自分の場所にしっかり立っているのが大事だと思ってのぞみます」。

 一歩一歩着実に経験を重ね、結果を出してきた。やりたいこともかなうようになった。それでも「まだまだいろいろな動きはしたいな」と話す。「自分で自分を崩して、また作ってといったことを繰り返していきたい。こういう役だとこだわらずに、いろいろな方面に顔を出したい。ジャンルを問わず自分自身を遊べちゃったらよいですね」

 次に見せてくれるのは、どんな田中麗奈(れな)か。(文:谷口隆一/撮影:フォトグラファー 大石一男/SANKEI EXPRESS (動画))

 ■たなか・れな 1980年生まれ、福岡県久留米市出身。映画「がんばっていきまっしょい」(98年)で主演し女優としてデビュー、日本アカデミー賞優秀新人賞、ブルーリボン賞新人賞など受賞、「はつ恋」(2000年)、「夕凪の街 桜の国」(07年)、「夢売るふたり」(12年)などに出演。ドラマはNHK大河ドラマ「平清盛」(12年)、NHKドラマ10「激流」(13年)、TBS系スペシャルドラマ「恋」(13年)など、舞台は「思い出トランプ」(08年)で初舞台を踏み「おくりびと」(10年)、「船に乗れ!」(13年)などに出演。趣味・特技は中国語・英語・着付け・茶道(裏千家茶道上級位)。

田中麗奈さんオフィシャルブログ www.tanakarena.co.jp/

 【ガイド】

 ■明治座4月公演「きりきり舞い」 出演:田中麗奈、加藤雅也、吉沢悠、板尾創路、熊谷真実(くまがい・まみ)、篠井英介。公演日程:4月6日(日)~26日(土)。開演時間:昼の部午前11時・正午 夜の部午後4時・5時。会場:明治座。問い合わせ先:明治座チケットセンター (電)03・3666・6666(午前10時~午後5時)

 20世紀に活躍したニューヨークのテキスタイルデザイナーVERA_NEUMANN(ヴェラ・ニューマン)のアーカイブプリントとオンワードがコラボレーション。田中麗奈さん着用の“プチメゾンプリント”のブラウスは、店頭展開中。

スタイリスト:袴田知世枝

ヘアメイク:奥川哲也(dynamic)

問い合わせ先:(株)オンワード樫山 お客様相談室 (電)03・5476・5811

ランキング