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【ジャンプ】「泣き言は言わない」 葛西、ラージヒル出陣

 ソチ冬季五輪で2月15日に行われるノルディックスキー・ジャンプ男子ラージヒル(HS140メートル、K点125メートル)に、41歳の葛西紀明(土屋ホーム)が“出陣”する。(2月)9日のノーマルヒルでは日本勢最高の8位入賞。このとき腰を痛めたが、(2月)13日の公式練習で回復をアピール。日本選手団の主将は「泣き言を言わず、試合に集中したい。(今大会の)日本はまだ金がないので、自分が取りたい」と、決意を口にした。

 前日の練習を休んだ葛西は、(2月)13日の2本の公式練習で131.5メートルと134メートルを飛び、いずれも全体で2位の飛距離をマークした。今季ワールドカップ(W杯)で最年長優勝記録を更新し、総合3位に付ける葛西は14日の予選は免除されており、直接本番に臨む。腰の痛みは選手村などで治療を受け、和らいでいるという。助走姿勢や飛び出しのタイミングへの影響が心配されるが、「(17日の)団体まで持つように、うまくやっていきたい」と、けがとの“付き合い”はお手の物だ。

 「世界一効率良い飛型」

 海外で“レジェンド”と称賛される大ベテランが、世界の第一線で活躍を続けられるのはなぜなのか。

 「とにかくアスリートとして完成されている」と絶賛するのは、葛西の体力測定を担当してきた北星(ほくせい)学園大の佐々木敏教授だ。昨年(2013年)10月に行った測定では、20歳の時と比べて遜色ない数値を維持し、向上している項目まであった。

 左膝や腰などの古傷に配慮しながら体力を維持するのは容易ではない。所属先の中西康隆トレーナーによると、スクワットでは下ろす動作を急がないなど過度の負担が掛からぬよう注意。上下動だけでなく、バレーボールやテニスといった前後左右に動く練習も取り入れ、全身の瞬発力を落とさない工夫をしている。

 ジャンプの動作解析に詳しい北翔(ほくしょう)大学の山本敬三准教授は「陸上の走り幅跳びとは異なり、ジャンプは踏み切りの力が飛距離を決める主な要素ではない」と説明する。いかに素早く適正な飛行姿勢に入り、空気の力を生かして飛距離を稼げるかが鍵となる。

 葛西の飛型は空中で両足を大きく開く。「世界で一番効率が良いのでは」と、全日本の横川朝治ヘッドコーチは言う。揚力を受けやすいようスキーの面を正面に向けられるバランス能力も日本でトップクラスだ。斉藤智治監督は「ソチの台は(空中の)後半がうまい選手が伸びる。後半のうまさ、落ちそうで落ちない紀明向きの台だ」と、期待を込めた。(SANKEI EXPRESS (動画))

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