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飛びすぎ沙羅 葛西に並ぶW杯16勝 41歳ベテランも負けじとHTB杯優勝

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飛びすぎ沙羅 葛西に並ぶW杯16勝 41歳ベテランも負けじとHTB杯優勝

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2014年ソチ冬季五輪会場。競技は、ロシア・ソチの市街地から約40キロ南東にある黒海沿岸の「アドレル」と、アドレルから約45キロ離れた山岳地域の会場「クラースナヤ・パリャーナ」の2カ所で実施。(C)Google  来月(2月)開幕のソチ冬季五輪で金メダルを狙う17歳の女子ジャンパーと41歳の中年男ジャンパーが1月18日、国内でアベック優勝を飾った。高梨沙羅(クラレ)は山形市蔵王で行われたワールドカップ(W杯)女子個人第8戦で今季7勝目、W杯通算16勝目を挙げた。通算勝利数は男子の葛西紀明(土屋ホーム)と並ぶ日本勢最多。その葛西も負けじと、札幌市大倉山で行われた今季国内初戦となるW杯下部のコンチネンタル杯を兼ねたHTB杯国際大会に出場し、この大会4年ぶり5度目の優勝を果たした。

 着地バランス崩す

 「怖かった。安全に着地しようとしたけどできなかった」。高梨の大ジャンプに本人ばかりか、関係者も肝を冷やした。着地で後ろにバランスを崩し、背中と頭を雪面にこすらせ、フェンスにぶつかる直前に体勢を立て直して止まった。

 強風で2回目のジャンプが途中で打ち切られ、1回目の成績で順位が決まり、高梨はこれ以上飛ぶと危険なヒルサイズ(HS)の100メートルを越える104メートルで優勝。ソチ代表で19歳の伊藤有希(土屋ホーム)が96.5メートルで2位に入り、初めて表彰台に立った。日本の女子2人が表彰台に上がるのも初めて。

 風向きが不安定で、何度も競技が中断されるなか、高梨は集中力を切らさなかった。ソチのジャンプ台に似た曲線が緩やかな助走路にも対応し、しっかりと踏み切ると、全選手の中で最も強い向かい風を受け、ぐんぐん伸びた。小川チーフコーチの判断で前の選手よりスタート位置を下げていたが、「沙羅なら(HSの)100メートルくらい飛んで安全に着地できるだろう」という予測を超えた。

 「たくさんの観客の中で優勝できてうれしい」と、本人は喜んだが、ソチまで約3週間に迫ったこの時期、最大のライバルのサラ・ヘンドリクソン(米国)ら女子選手で相次いでいる負傷や故障は絶対に避けなければならない。着地の際の膝への強い衝撃が一因で、高梨も「技術不足なのでもっと練習したい」と、状況に対応したジャンプの取得を課題に挙げた。

 強い心臓、漂う余裕

 その点、通算勝利で並ばれたが、W杯史上最年長優勝を果たしたばかりのベテランは危なげない。

 葛西は1回目にただ一人HSを2.5メートル越える136.5メートル、2回目は他の選手よりスタート位置を下げながら、HSに迫る133メートルを飛び、圧倒的な強さをみせた。

 「1本目はワールドクラスのジャンプができた」と胸を張ったが、飛距離が出すぎて膝を痛めた昨季の経験を生かし、「(2本目は)大事を取った」と、あくまで冷静だった。

 10季ぶりのW杯優勝で「心臓が強くなった」といい、考えすぎてしまった過去の五輪前とは違い余裕すら漂う。7度目の五輪では日本選手団の主将にも指名され、「余計に身の引き締まる思い。ぜひ金メダルを狙っていきたい」と、意欲をみなぎらせた。(SANKEI EXPRESS

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