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【ソチ五輪】不屈の41歳 悲願「金」へ挑む葛西選手 結団式で決意表明

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【ソチ五輪】不屈の41歳 悲願「金」へ挑む葛西選手 結団式で決意表明

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結団式に続いて行われた壮行会で、安倍晋三(しんぞう)首相(右端)に激励される葛西紀明主将(中央)、田畑真紀副将(左端)ら、ソチ冬季五輪日本選手団の選手たち=2014年1月20日、東京都港区のグランドプリンスホテル新高輪(小倉元司撮影)  ソチ冬季五輪に出場する日本選手団の結団式が1月20日、秋篠宮ご夫妻をお迎えして東京都内で開かれ、夏季五輪も含め史上最年長の41歳で選手団主将を務めるノルディックスキー・ジャンプ男子の葛西紀明(かさい・のりあき)選手(土屋ホーム)が「自覚と責任を持って大会に臨む。一人一人が不撓不屈(ふとうふくつ)の精神で取り組んできたトレーニングとソチに向けた熱い思いをチームジャパンとして集結し、一意専心(いちいせんしん)、競技に挑む」と決意表明した。2大会連続で選手団長を務める日本スケート連盟の橋本聖子会長(49)は「2020年東京五輪開催が決まってから初の五輪。一丸となって活力ある日本を伝えてほしい」と話した。

 長野超えを目標に

 式典には新種目のスキー・ジャンプ女子で金メダルを狙う高梨沙羅選手(17)=クラレ=ら選手、役員126人が出席。団旗は日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長(66)から橋本団長を経て、旗手を務めるカーリング女子の小笠原歩選手(35)=北海道銀行=に手渡された。

 大会は2月7日に開幕し、7競技98種目が行われる。橋本団長は、過去最高成績だった1998年長野冬季五輪の金メダル5個、メダル10個を超える成績を目標に掲げ、「達成は十分可能」と強気の姿勢を示した。

 19歳から7大会連続

 ソチ五輪に向けて日本選手団の中で誰よりも燃えているのが、冬季五輪で単独世界最多の出場となる7大会連続で五輪代表に入った主将の葛西だ。今季(2013~14年シーズン)は開幕から好調で、オーストリアで今月(1月)11日に行われたワールドカップ(W杯)第13戦では、10季ぶりに16度目の優勝を果たし、史上最年長記録を更新(41歳7カ月)した。ジャンプの本場、欧州では「レジェンド(伝説)」とたたえられる人気者は「目標は金メダル」と公言してはばからない。

 葛西は幾多の名ジャンパーを輩出した北海道下川町に生まれ、中学3年で頭角を現した。宮様国際大会(札幌・大倉山)でテストジャンパーを務め、成年組と同じスタートゲートで優勝選手の飛距離を上回ったのだった。早熟の天才は高校1年からW杯メンバーに抜擢(ばってき)され、19歳でアルベールビル五輪(1992年)に初出場。以来、国際舞台で戦い続けてきた。

 この間、飛型がスキー板を平行にそろえる形からV字になり、板の長さやスーツの規定も変わった。鎖骨を折るほどの転倒、所属先の廃部…。それでも「やめようと思ったことはない」。その都度、どん底からはい上がってきた。くじけそうな心を支えてきたのは、難病と戦う妹を元気づけようという思いと、負傷が原因で日本が金メダルを獲得した長野五輪団体での出場メンバーから直前に外された悔しさだった。

 自他共に認める「負けず嫌い」。94年リレハンメル大会の団体では銀メダルを手にしているが、「自分だけ金メダルを持っていないことが許せない」と、今日まで五輪表彰台の真ん中に立つことを目標に飛び続けてきた。

 「30、40、50代の星」

 結団式に引き続いて行われた壮行会には安倍晋三首相(59)が駆けつけ、「日の丸飛行隊」が札幌五輪で70メートル級ジャンプの表彰台を独占した72年生まれの葛西に「スキーのジャンプで活躍するために生まれてきたようなもの。30、40、50代の星として頑張ってほしい」とエールを送った。

 「アグレッシブに取り組んでいく」。意気盛んな“伝説の男”を先頭に、日本選手団はソチに乗り込む。(SANKEI EXPRESS

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