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「昭和のお手伝いさん」ベルリン魅了 「小さいおうち」黒木華さんに最優秀女優賞

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「昭和のお手伝いさん」ベルリン魅了 「小さいおうち」黒木華さんに最優秀女優賞

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世界の主な映画祭=2012年末時点  世界三大映画祭の一つ、第64回ベルリン国際映画祭コンペティション部門の授賞式が2月15日開かれ、山田洋次監督(82)の「小さいおうち」に出演した黒木華(はる)さん(23)が最優秀女優賞(銀熊賞)に選ばれた。日本人の最優秀女優賞受賞は、左幸子(ひだり・さちこ)さん(1964年)、田中絹代さん(75年)、寺島しのぶさん(2010年)に続き4人目。コンペの最高賞「金熊賞」には、未解決殺人事件の真相を追う元警官と謎めいた女性を描いた中国のサスペンス映画「ブラック・コール、シン・アイス」(ディアオ・イーナン監督)が選ばれた。

 「え?」びっくり顔

 「ハル・クロキ! 映画『小さいおうち』」-。最優秀女優賞受賞を告げるアナウンスに、桜が緑に映える美しい着物姿の黒木さんは「え?」とびっくりした顔で客席から立ち上がった。会場からの大きな拍手に黒木さんは両手を合わせて感謝を示し、目の前に座っていた山田監督と握手を交わした。

 「すごくうれしいです。着物だとうまく動けないのですが、飛び上がりそうになりました」。記者会見では、こんな表現で喜びをあふれさせ、「私がトップに立ったのではなく、作品が評価されて受賞できたのだと思っています。みんなで喜んで、私はこれから、自分にできることを地道に頑張っていきたい」としっかり話した。

 映画は、中島京子さんの直木賞受賞作が原作。昭和10年代に東京の中産階級の家に奉公した女性、タキ(黒木さん)が見た日常と、その家の「奥さま」の道ならぬ恋を描いた。ベルリンの審査員は「タキは作中の全ての女性をつなぐキーパーソン。黒木さんの演技力が群を抜いていた」と賛辞を贈った。

 授賞式後、山田監督から「君がいたからああいう映画ができたんだ」と褒められた黒木さん。「僕の手の届かない女優さんになるんじゃないかな」と冗談交じりに言われて「いやいやいや、呼んでください」と恐縮しきり。互いに「どうぞよろしくお願いします」と頭を下げ、報道陣を笑わせた。

 舞台・テレビでも

 黒木さんは、大阪府出身。映画のみならず舞台やドラマと幅広く活躍する新進女優だ。大学時代に野田秀樹さんの舞台を踏み、女優の道へ。昨年は映画「シャニダールの花」で初主演したほか「舟を編む」にも出演。「草原の椅子」では心に傷を負った少年の母親代わりになろうとする情の深い女子大生を演じた。

 一方、NHK連続テレビ小説「純と愛」で演じたのは、性格が一変するヒロインの同僚役。ドラマ「リーガルハイ」のヒッピー風ファッションに身を包んだ弁護士役など、エキセントリックな役柄でも鮮烈な印象を残している。

 受賞対象作「小さいおうち」で演じたのは、昭和初期の中産階級の家庭に住み込むお手伝いさん。着物と割烹(かっぽう)着という姿で、つつましく生きる昭和の女性を体現した。その姿は、山田監督をして「彼女以上に、あの時代のかわいい女中さんを演じられる女優はいない。日本一ですよ」と言わしめた。(SANKEI EXPRESS (動画))

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