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ソチ五輪で「クール・ランニング」復活 寄付金でジャマイカ・ボブスレー出場

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ソチ五輪で「クール・ランニング」復活 寄付金でジャマイカ・ボブスレー出場

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2002年のソルトレークシティー冬季五輪に出場したジャマイカのボブスレー男子2人乗りチーム。ソチで12年ぶりに「クール・ランニング」が帰ってくる(奈須稔撮影)  2月7日開幕のソチ冬季五輪に、常夏の南の島から情熱的でクールなやつらが12年ぶりにやってくる。映画「クール・ランニング」で一躍有名になったジャマイカのボブスレーチーム。2002年のソルトレークシティー大会に出場した46歳のウィンストン・ワッツ選手がパイロットを務める男子2人乗りのソチ出場が1月20日、決まった。資金不足から出場が危ぶまれていたが、ネットでの呼びかけに世界中から寄付金が集まったほか、ロシアの五輪組織委員会も渡航費を負担すると決定。まだ資金は足りないというが、世界から強力なプッシュを受け、ソチのコースを滑走する。

 「本当にすごいぜ! 世界中が俺たちの後についてるんだ。こんな小さな島国のことを遠くの国々の人たちが応援してくれるなんて感動したよ」

 93年に映画大ヒット

 ワッツ選手はAP通信の取材に、大喜びでこう語った。マービン・ディクソン選手(31)とコンビを組むチームは、1月19日時点の世界ランキングで決まる五輪出場権を獲得。レースは来月(2月)19、20日に32チームが出場して行われる。

 ジャマイカのボブスレーチームは、1988年のカナダ・カルガリー大会に4人乗りで五輪初出場。雪が降ったことのないカリブ海の島国から冬季五輪に挑む陽気な選手たちをコミカルに描いた93年公開の「クール・ランニング」が大ヒットした。

 98年の長野を含めソルトレークシティーまで5大会連続で出場したが、最近2大会は姿を消していた。

 米スポーツサイトによると、ワッツ選手は首都キングストンで生まれ、10代で陸軍に入隊。運動能力を買われ、軍の訓練プログラムにあったボブスレーのパイロットに抜擢され、五輪に3大会連続で出場し、12年前のソルトレークシティーは28位だった。

 その後は、映画のブームも去り、国の資金援助が激減。2006年トリノ大会への出場を逃したのを機に引退し、米ワイオミング州に家族と移住して市民権も得て油田で働いていた。ところが、ボブスレーのコースが近くにあったことから、競技への情熱がよみがえり、現役に復帰。今年の大会で好成績を挙げソチ出場圏内に入った。

 ネットで窮状訴え

 ワッツ選手はソチ出場のため、16万4000ドル(約1700万円)もの私財を出したものの、渡航費や用具費として約8万ドルの資金が不足していた。

 このため、「このままでは歴史的なレースに出場できない」と募金を呼びかけ、ジャマイカ五輪委員会(JOA)や支援者もネットを通じて資金を募る「クラウド・ファンディング」サイトを立ち上げると、世界各地から1万8000ドルが集まった。

 さらに、JOAに加えてソチ五輪組織委による異例の渡航費負担も決まり、出場のメドがたった。

 「俺は諦めることが好きな人間じゃない」と語るワッツ選手は、ボブスレーで過去2番目の高年齢での五輪出場となる。

 ジャマイカでは陸上のスーパースター、ウサイン・ボルト選手(27)らが夏季五輪で大活躍しているが、ワッツ選手は「冬季五輪もジャマイカにとってかけがえのないスポーツ。今度は俺たちの番だ」と、意気込んでいる。ソチを舞台にした“クール・ランニング2”が幕を開ける。(SANKEI EXPRESS

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