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【震災1000日】「全員帰還見直し」賛成68% 生活再建に苦悩

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【震災1000日】「全員帰還見直し」賛成68% 生活再建に苦悩

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 ≪産経新聞社アンケート≫

 東日本大震災の発生から12月4日で1000日となる。復興庁によると、避難者は11月14日時点で27万7609人。うち住んでいた県以外に避難している人は岩手、宮城、福島3県で5万8309人に上り、東京電力福島第1原発事故の影響を受ける福島県民が4万9554人と84%を占める。

 産経新聞社が行ったアンケートでは、原発事故で避難している被災者の約7割が、政府が「全員帰還」の原則を変更して移住希望者の支援を充実させることに賛成している。帰還を望まない人も半数を超え、3月に実施した調査より10ポイント以上増えた。

 避難生活の長期化で地元に戻ることを諦め、移住先での生活再建を望む被災者が増えている実態が明らかになった。

 調査は、自民、公明両党が先月(11月)11日に「全員帰還」の原則変更などを政府に提言したことを受け、アンケート形式で実施。避難指示区域(帰還困難区域、居住制限区域、避難指示解除準備区域)が設定されている市町村から福島県内外に避難している被災者計211人(県内95人、県外116人)から回答を得た。

 被曝不安

 政府は既に移住支援策などの検討に入っているが、調査では、「移住しやすくなる」「人生設計が立てられる」などの理由から68%の被災者が原則変更に賛成した。反対は12%で、「どこに住んでいいか分からない」「集落が成り立たなくなる」などの回答があった。

 「故郷に帰って住み直したいか」という質問には、52%が「いいえ」と回答、35%だった「はい」を上回った。今年3月に産経新聞社が実施した調査では「いいえ」は40%、「はい」が54%。3月調査は県外避難者だけが対象で単純比較はできないが、帰還を望まない被災者が増えていることはうかがえる。

 帰還を望まない理由(複数回答)としては、66%が「被曝(ひばく)不安が残る」を挙げた。「人生設計が立てられない」(41%)、「住宅を再建できない」(29%)などが続き、帰還後の生活の不安から帰りたくても帰れない苦悩が浮かんだ。

 被災者の86%が「福島の復興が進んでいるとは思わない」と回答しており、除染や復興の遅れも背景にある。

 現実的な選択肢は…

 福島県飯舘村から福島市に避難している男性(63)は「故郷に帰って住み直したいか」との質問に、いったん「はい」に印を付けたが、最終的に「いいえ」と付け直した。浪江町から静岡県富士市に移住した堀川文夫さん(59)は「帰れるものなら帰りたい。できないから帰らない選択をした」と話した。

 望郷の思いは、「現在の暮らしで困っていること」(複数回答)という質問からもうかがえる。最も回答が多かったのは、約4割の被災者が挙げた「故郷や住宅の荒廃」だった。避難先での生活も厳しい。「1年前と比較して生活はよくなった」と回答した人は12%。「家族関係が悪くなった」との回答は3割を超えた。また、85%が「避難生活にストレスを感じる」と回答。仕事の状況については33%が「休業、休職中」としており、経済的にも状況は改善していない。(SANKEI EXPRESS

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