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【きょうの人】経済再興「天命と思ってやる」 経団連会長に就任する東レ会長・榊原定征さん(70)

ニュースカテゴリ:企業の経営

【きょうの人】経済再興「天命と思ってやる」 経団連会長に就任する東レ会長・榊原定征さん(70)

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(宮崎裕士撮影)  経団連の次期会長に14日、内定した。米倉弘昌会長の後を受け、6月から“財界総理”の要職に就く。会長就任の抱負を問われ、「安倍晋三政権の経済政策でデフレ脱却も見え始めた。民間企業が政府と一体となって経済を牽引(けんいん)する」と力強く答えた。

 現職の副会長ではない異例の後継人事だけに、当初は米倉会長からの打診を断った。だが、「日本経済の再興は国民的課題。天命と思ってやるのが男として、人間としての道だと判断した」と腹をくくった。イノベーション(技術革新)への熱意と、東レの経営を立て直した胆力は折り紙つきだ。

 東レの社長に就任した平成14年に、「痛みもあるが私についてきてください」と賞与ダウンなどの経営改革を断行した。以後、東レはリーマン・ショック前の19年度まで6年連続で増益を達成した。

 榊原氏の経営手腕を象徴するのが炭素繊維事業だ。高校1年の時、図書館の雑誌で知り、「自分もこんな研究をしたい」との思いを胸に抱いた。東レに入社を決めたのも「ものづくりで日本の経済に貢献したい」との思いからだ。

 米国駐在時には、ボーイング本社に再三足を運び、炭素繊維の認定試験を繰り返した。熱意が実り、炭素繊維はボーイング787などに採用され、東レを世界シェア首位に押し上げた。

 余暇は皇居周辺や国内の避暑地でチョウの採集に熱を上げる。「自然界の美しさを感じる」と集めたチョウは数千種。海外出張では「1日休みをとって採集する」ほどだが、当面は日本経済の安定成長に追われそうだ。(兼松康)

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