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経団連、東レ・榊原氏の手腕に期待 イノベーションの旗手に注目

ニュースカテゴリ:企業の経営

経団連、東レ・榊原氏の手腕に期待 イノベーションの旗手に注目

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 経団連の米倉弘昌会長の意中にあった次期会長は日立製作所の川村隆会長(74)だった。昨夏から年末にかけ再三、就任を働きかけたが、川村氏は固辞。このため今年に入り榊原定征氏への就任を打診し始めたという。榊原氏は同じ化学業界で旧知の仲であることに加え、同氏のモノづくりに対する情熱や東レを復活させた実績を見込んだものとみられる。

 榊原氏の会長就任後の課題となりそうなのが、経団連の改革だ。川村氏が会長就任を固辞したのは74歳という年齢だけではない。会長就任を打診された後、関係者に「経団連という組織の運営自体に疑問がある」と漏らしている。

 例えば夏季セミナーや地方懇談会での会長・副会長発言は事務局が予定稿を配る“予定調和方式”だが、「小学生じゃあるまいし」と不満を漏らす副会長は少なくない。

 会長人事も現役会長が独断で決め、会員企業や事務局はその決断を追認する手法だ。他団体首脳は「これだけグローバル化が進み、経営に透明性が求められる時代にこんなやり方ではいくら政策提言をしても信用されない」と指摘する。

 榊原氏の母体である東レは名門企業とはいえ、米倉氏が会長の選考基準に挙げた「日本を代表する製造業」としては経営規模が小さい。現役副会長にトヨタ自動車、三菱重工、新日鉄住金、東芝など有力製造業の現役トップが居並ぶなか、東レで実践してきたイノベーションに向け、リーダーシップを発揮できるのか。

 榊原氏の求心力やガバナンス(統治力)能力に注目が集まる。(早坂礼子)

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