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経団連次期会長に東レ・榊原氏起用 「異例中の異例」 副会長OB

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経団連次期会長に東レ・榊原氏起用 「異例中の異例」 副会長OB

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経団連次期会長に決まった東レの榊原定征(さだゆき)会長=2013年3月7日、東京都内(小野淳一撮影)  経団連は1月9日、米倉弘昌会長(76)の後任に東レの榊原定征(さだゆき)会長(70)を起用することを明らかにした。9日までに後任の指名権を持つ米倉氏が榊原氏に就任を打診し、内諾を得た。東レからの経団連会長は初めて。化学メーカーからの選出は米倉氏の住友化学に続いて2代連続。14日の会長・副会長会議に報告し、6月上旬の定時総会で正式決定する。任期は通常2期4年。

 榊原氏は炭素繊維など付加価値の高い先端材料を東レの主力事業に育て、名門「東レ」を復活させた経営手腕に定評がある。財界の論客としても知られ、安倍晋三政権の産業競争力会議の民間議員を務めるなど政府とのパイプも太い。

 経団連では2007年から23年まで副会長を務め、現在は顧問。従来の経団連会長は現役の副会長から選ばれるのが通例で、OBからの起用は「異例中の異例」(関係者)だ。次期会長の選考基準を「多くの技術のすり合わせで成り立っているものづくり企業の経営者」と公言していた米倉氏が今年に入り説得した。

 ≪苦肉の人選 モノづくりへの情熱が決め手≫

 経団連の次期会長が、元副会長の東レの榊原定征(さだゆき)会長に決まった。副会長OBを会長に起用する異例の人事は、米倉弘昌会長が“意中の人”だった日立製作所の川村隆会長に後継を断られ、旧知の盟友に頼った苦肉の人選にほかならない。

 意中の人に断られ…

 米倉氏は昨夏から年末にかけ川村会長に再三、次期会長就任を働きかけた。だが川村氏は74歳という年齢などから就任を固辞した。

 関係者によると、今年に入って米倉氏が榊原氏に就任を打診したという。現役の副会長には、トヨタ自動車や三菱重工、新日鉄住金、東芝など有力製造業の現役トップがそろっている中で、住友化学の米倉氏は同じ化学品業界出身で関係の深い榊原氏に後を託した形だ。

 東レは三井グループの中核企業で、合繊業界では首位。榊原氏は社長在任中に炭素繊維で自動車部品向けの開発などを進めたほか、米ボーイングの旅客機「B787」向けの長期供給契約を2006年に結んだ。6年連続で増益を達成するなど、大きく成長を遂げた。

 榊原氏をよく知る関係者は「何事も数字で判断し、納得しないと首を縦に振らない理論家」という。東レ社内では榊原氏を「熱い人物」と評する声が多い。米倉氏が榊原氏を後任に指名したのは、経営手腕とモノづくりに対する情熱が決め手になったとみられる。

 イノベーション期待

 だが名門とはいえ、東レの連結売上高は約1兆6000億円、従業員は約4万人で、米倉氏が会長の選考基準に挙げた「日本を代表する製造業」としては小粒の感が否めない。日本最大の経済団体である経団連で異例の起用となった榊原氏が、どれだけ組織の求心力を集められるかは未知数だ。榊原氏には安倍晋三政権と歩調をあわせてデフレ脱却に向けた道筋をつけるとともに、経団連の運営のあり方の改革も求められる。

 東レのコーポレート・スローガンの「イノベーション・バイ・ケミストリー」(化学による革新と創造)と同様に、財界総本山の経団連で榊原氏がイノベーションをどう実現するか。榊原氏のリーダーシップに注目が集まる。(早坂礼子/SANKEI EXPRESS

 ■さかきばら・さだゆき 1967年名古屋大大学院卒、東洋レーヨン(当時)に入り、経営企画室長、技術センター所長などを経て2002年社長。10年から現職。神奈川県出身。

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