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パナソニックが3Dプリンター本格導入 デジタル家電試作、コスト大幅削減
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大阪府門真市のパナソニック本社 パナソニックがデジタル家電の開発過程を改め、試作品に樹脂を使い立体物が簡単に作れる「3Dプリンター」を全面的に使用することが7日わかった。従来は白物家電の試作品などが中心だったが、より小型で複雑な形状が求められるデジタルカメラなどでも3Dプリンターを活用する。試作品の開発コスト削減とスピード化により、新製品の開発を効率化する考えだ。
パナソニックは、カメラなど小型デジタル家電の新製品について、原則的に3Dプリンターを試作に使用する方針に転換。デジタル家電を扱うAVCネットワークス社(大阪府門真市)などに3Dプリンターを数台設置し、一部の試作品で導入を始めた。今後、活用例を増やすために台数を増やす方針だ。
試作品はこれまで、樹脂や金属などを手作業で加工するケースが多かった。テレビなどの大型家電と違い、微細な部品を精密に加工する必要がある小型デジタル家電の場合、手作業には時間がかかり、試作に数週間かかる場合もあった。
設計図のデータを読み込ませれば自動で立体物を作成する3Dプリンターを使えば、数時間から1日以内に試作品が完成する。家電各社は新製品の開発にあたり、数十~数百点近い試作を繰り返すといい、3Dプリンターの活用で開発期間のスピード化に加え、コストも最大約5分の1程度に抑えられるという。
すでに、パナソニックは5月に発売した、頭部に装着して撮影する「ウェアラブルカメラ」の試作品にも、3Dプリンターを活用した。
調査会社のシード・プランニングによると、平成24年の3Dプリンターの国内市場は93億円だったが、28年には155億円に成長する見通し。パナソニックの本格導入は、他のメーカーにも影響を与えそうだ。