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パナソニック、V字回復も成長路線へ強い意欲 スマホ、テレビ、デジカメが課題に
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パナソニックが31日発表した2013年4~6月期連結決算は、最終利益が前年同期の8.4倍の1078億円に膨れ、四半期ベースで過去最高を記録した。円安効果に加え、固定費削減や経営合理化が進んだことが寄与した。年金制度を一部変更したことで多額の利益が生じた特殊要因もあった。ただ、「為替の動きが不透明」などとして、通期業績見通しは据え置いた。
最終損益の黒字は12年10~12期以来2期ぶり。売上高は前年同期比0.6%増の1兆8245億円と横ばい、本業のもうけを示す営業利益は642億円で前年同期から1.7倍近く伸びた。特に住宅用の太陽光発電システムや車載用リチウムイオン電池の販売が好調だった。円安による営業利益の押し上げ効果は80億円だった。
河井英明常務はこの日の記者会見で、「収益力が回復すれば必要な構造改革は前倒ししてでもやる」と述べ、成長路線への転換に強い意欲を示した。
事業別では、携帯電話事業は54億円の営業赤字となり、赤字幅が拡大した。NTTドコモがソニーと韓国サムスン製のスマートフォン(高機能携帯電話)を集中的に販売する「ツートップ戦略」のあおりを受けた格好だ。
このことについて、河井常務は「大変厳しい状況には間違いない。下期以降の新製品開発を含め、近々にその方向性決めていく」と述べ、ドコモ向け新製品の開発中止の可能性も示唆した。その上で、法人向け事業の拡大や通信技術の活用を軸に、挽回していく考えを示した。
薄型テレビやデジタルカメラ事業の収益改善も今後の課題として残った。