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オーブンレンジ商戦が過熱 シャープ・パナソニックなど機能強化
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水蒸気の発生力を高めたシャープの新型オーブンレンジ=11日、東京都港区 オーブンレンジをめぐって家電各社が熱い戦いを繰り広げている。水蒸気の役割に着目し、「焼き蒸し」調理や油を使わない揚げ物「ノンフライ」調理ができる高機能タイプの販売を強化。シャープが11日に発表した新製品は水蒸気を発生させるエンジンの出力を高め、調理時間を大幅に短縮した。来春に予定される消費税増税で税込み価格が上昇するのを前に、各社はヘルシーな料理が簡単にできる性能をアピールし、健康志向のユーザーを取り込もうと懸命だ。
シャープは、過熱水蒸気で調理するオーブンレンジ「ヘルシオ」の新製品4機種(想定価格約6万~16万円)を8月23日に発売する。水蒸気の効果で、老化の一因とされるタンパク質の生成や、疲労回復効果が期待できるタウリンなどの栄養素の流出を抑えられるという。
一部機種には自社開発の人工知能「ココロエンジン」を搭載。ロボット掃除機「ココロボ」のように、会話で和ませる遊び心で、調理を手助けしてくれる。新たに加えたシニア向け機種では、例えば取り忘れを検知すると「料理が入ったままですよ」と声で知らせてくれる。
同社の調理システム事業部の冨林達実事業部長は「おいしさと健康にこだわり、差別化を図りたい」と強気で、4機種で月2万4000台の販売を目指す。
2013年度のオーブンレンジの国内販売台数は、シャープによると279万台と前年度比6.2%増となる見通しで、家電各社が相次いで投入している高機能タイプも順調な売れ行きだ。
パナソニックは、高機能オーブンレンジ「3つ星ビストロ」の新製品を6月に発売。ボイラーの熱効率を高めるなど機能をアップし、10分で調理できるメニューを加えた。30~40代の共働き世帯を中心に売り込んでいる。日立アプライアンスと東芝ホームアプライアンスも焼き蒸しメニューを強化する。
海外勢では、オランダ家電大手フィリップスの油を使わず揚げ物ができる調理家電「ノンフライヤー」が、一部で品切れが出るほどの売れ行き。家庭で調理する「内食」ブームを追い風に、味にも健康にもこだわりたい消費者の胃袋をつかもうと、商戦が過熱している。(米沢文)