寄付金のクレジット決済や返礼品選びが簡単にできるふるさと納税制度のポータルサイトの利用者が急増している。2016年末時点の納税額はサイトによっては前年比で4倍を超えたところも出ている。総務省は16年度末の寄付額のとりまとめを6月ごろに発表する見通しだが、15年度に続いて16年度も過去最高を更新するとみられる。ただ、制度が普及して納税額が増えるのに伴って、自治体には情報漏洩(ろうえい)対策など新たな課題への対応も求められている。
ソフトバンクのグループ会社、さとふるが運営するふるさと納税サイトのさとふるは、納税額、件数ともに前年比で4.2倍まで増えた。同社の高松俊和取締役は「テレビのCMを夏以降放映したことや取り扱い自治体数を約2倍に増やしたことが奏功した」と話している。また、全国の1156自治体の寄付を取り扱っているトラストバンクが運営するふるさとチョイスも、ほぼ倍増したとみられるなど、大手サイトの納税額は増加の一途だ。
自治体に寄付すると2000円を超えた額が住民税や所得税から控除されるふるさと納税は、寄付金獲得のために家電や商品券など返礼品を豪華にする自治体が近年、相次いだことを受けて、総務省は昨年4月、地元の産業と関係性の低い家電などを返礼品として提供することの自粛を求める大臣通知を出した。
各サイトも通知を受けて返礼品の変更や自粛を自治体に求め、自治体は、福岡県苅田町が本物のフライトシミュレーターの操作など体験型を用意したり、島根県浜田市と三重県松阪市が名物のノドグロと松阪牛をセットで用意したりするなど、返礼品に工夫を凝らすようになった。また、地震や台風など災害が相次いだことから、被災自治体に返礼品を求めない純粋な寄付も各サイトに集まり、さとふるでは、熊本地震など3災害の支援のために約2億円が集まった。