安倍首相が速攻、トランプ氏と17日にNYで会談へ トップダウン志向の2人、意外とウマが合うかも (2/2ページ)

 だが、実は日本政府はこのとき、トランプ氏側にも会談を申し入れていた。結果的に本人は出てこなかったが、安倍首相はトランプ氏のアドバイザーの一人で投資家のウィルバー・ロス「ジャパン・ソサエティー」会長と会談している。ロス氏はこのとき、こう話したという。

 「トランプ氏は選挙向けに強い言い方をしているが、非常に現実的で論理的な思考ができる人だ」

 トランプ氏に関しては、在日米軍の撤退・削減や日韓の核武装容認に言及していることから、何を言い出すか分からないという警戒が国内外で強い。

 ただ、安倍首相としてはむしろ、膨張する中国をにらんだ今後の日露関係や日比関係の強化が進めやすくなった部分もある。オバマ氏はロシアのプーチン大統領やフィリピンのドゥテルテ大統領に対し感情的になっており、日本に一定のブレーキをかけていたが、トランプ氏にはそれはない。

 「トランプ氏は今は保護貿易主義的なことを言っているが、米国がどれだけ自由貿易の恩恵をうけてきたのかについても話したい」

 安倍首相は周囲にこうも語る。今後、トランプ氏が在日米軍の駐留経費負担増を日本に強く求めるなど、日米同盟のあり方の根本的な見直しを迫られる可能性もあるが、首相ははっきりと指摘する。

 「そうなれば、それを日本の対米自立のきっかけにすればいいんだ」

    (阿比留瑠比)