とはいえ、宮沢会長は8月下旬に「所得税の久しぶりの大改正を考えている」と表明。自民税調として、配偶者控除などの抜本改革を行う青写真を描いていた。だが、見直しの有力案とした夫婦控除は、夫婦であれば妻の働き方を問わずに控除が受けられる仕組みで対象が増えて大幅に減収になる。税収を維持するには中間所得以上の世帯が控除を受けられなくなる可能性もあった。
このため、公明党が支持層の専業主婦世帯に不安が広がりかねないと懸念。来年1月の衆院解散を選択肢に見据える官邸にも慎重論が強く、夫婦控除の構想は腰砕けになった格好だ。
17年度税制改正では、麦芽比率などで異なるビール類の酒税一本化に踏み切れるかも課題となる。だが、ビールが減税になる一方、発泡酒や第3のビールが増税になり、有権者に反発を招く可能性もある。
ここ数年、自民税調は軽減税率導入などをめぐって官邸や公明党に押し込まれ、存在感が低下している。安倍晋三首相の“盟友”で新たにインナーに加入した甘利明前経済再生担当相はこの日の幹部会後、「政府と党が良い方向で一致していくようにつなぎ役をやっていく」と述べた。