ただ、財源の多くは建設国債を発行して賄った。28年度当初予算と合わせた歳出総額は3年ぶりに100兆円を超え、歳出は膨らみ続けている。
一方、日銀の金融緩和の新たな枠組みは、デフレ脱却まで長期金利が0%程度で推移するよう国債を買い入れるものだ。政府からみれば、低金利で国債を発行して資金を調達できる。
一般的には、財政悪化にもかかわらず国債発行が増えた場合、長期金利が上昇し、財政不安を警告する「シグナル」となる。しかし、日銀が長期金利を低く抑えるため、その機能を阻害しかねない。
政府・与党内では、来年1月の通常国会冒頭で衆院解散・総選挙に踏み切るとの見方が浮上する中、3次補正の編成も取り沙汰されるようになってきた。
安倍首相は12月にロシアのプーチン大統領を山口県に招き首脳会談を行うが、対露経済協力をてこに北方領土返還交渉を進展させ、成果を総選挙でアピールするとの観測がある。経済協力には財政措置が必要となる見通しで、3次補正の柱となる可能性がある。
財務省幹部は「現段階の必要施策は、すべて2次補正予算に組み込まれている」と牽(けん)制(せい)するが、拡張財政が続く中、新たな補正編成のハードルは低くなっている。(中村智隆)