対照的に、銀行貸出増加額は6600億円にとどまる。銀行は、企業が借りてくれない、という。無理もない。企業の利益剰余金は3月末で320兆円もある。
日銀当座預金、利益剰余金とも、融資や設備投資、雇用改善に使えるはずの軍資金だ。その合計残高は600兆円以上、それが毎年100兆円ずつさらに増えている。日銀がいくらカネを刷っても、さらにマイナス金利にしても、無駄金になるだけで景気は一向に良くならない。金融緩和偏重の政策限界は歴然としている。
政府が巨額のカネをヘリでばらまくがごとく、日銀マネーを財源に財政出動すればデフレは解消するだろう。が、財政規律は乱れ、悪性インフレになるという負の副作用が心配で、黒田氏に限らず、安倍首相だってそこまで大胆にはなれない。
ピンチを救う絶好機
ならば副作用がほとんどない偽薬の出番だ。国債発行して民間の余剰資金を吸い上げて財政支出する。が、国の借金は国内総生産(GDP)の2倍以上もあると財務官僚が待ったをかける。