英国の欧州連合(EU)離脱決定を受け、政府は28日、経済財政諮問会議を開き、日本経済に対する悪影響への対応の検討を始める。政府は秋に追加経済対策をまとめる方針で、今後の諮問会議の議論も反映させる。金融市場混乱による消費の冷え込みは長期化する恐れがあり、消費喚起策を中心に、10兆円以上の大型経済対策が必要との声が強まり始めている。
諮問会議では、先進7カ国(G7)が市場安定化に向けて共同声明を出した経緯などが報告され、今後、リスクに着実に対応する方針が確認されるとみられる。
市場からは、大型の経済対策を求める声が強まっており、第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストは「消費刺激に5兆~6兆円、熊本地震の復興に4兆~5兆円の対策を講じるべきだ」と主張する。このうち、短期的な刺激策としては、子育て関連サービスに使えるクーポン券、額面を上回る買い物をできる「プレミアム商品券」の発行を挙げる。
一方、EUからの離脱の動きが加速するなどすれば、円高、株安が長引くとの見方が根強い。
このため保育士の待遇改善など、中長期的に消費拡大につながる対策を求める声や、「5年で30兆円の対策といった長期目標を出し、市場に強い影響を与えるべきだ」(明治安田生命保険の小玉祐一チーフエコノミスト)との意見が出ている。