麻生太郎財務相は22日、東京都内で開かれた財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の女性向け公聴会に出席し、政府が抱える莫大(ばくだい)な債務を容認したともとれる発言をした。
麻生氏は「借金イコール悪いことではない。それに合う資産があればいい」と述べた。政府の借金は計1200兆円に達する半面、日本には借金総額を上回る家計の金融純資産(約1300兆円)があるため、借金を吸収する余力があることを念頭に置いたものとみられる。
平成32年度に財政の健全性を示す基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)を黒字化する目標に関し、「もう少し頑張れば、そういうこと(黒字)になる。この国の将来は暗いわけではない」と強調した。
財政審の女性委員は公聴会参加後の記者会見で「債務(借金)が増えて国債の格付けが下がってはいけない。とんでもないことを言い始めたと思った」と麻生氏を評した。同時に「大臣は(そうしたことを)理解した上で(日本は大丈夫という)夢を与えたかったのだろう」とおもんぱかった。
別の女性委員も「会場で日本の将来を心配している様子の女性がいたから、勇気づけるという面があったのだろう。財政再建を進めるということでは、麻生氏も同じ意見だと思う」と解説した。
公聴会は財政審が子育てなど社会保障分野を中心に女性の声を聞き、政策に反映させるために開催。女性に限定したのは10年ぶりで、一般公募に10代~70代の約470人が応募し、財政審からは、社会福祉法人理事長の竹中ナミ氏ら6人の女性委員が参加した。